オンライン診療でも患者さまの顔を見て しっかりコミュニケーションをとることが大切

ショコラウィメンズクリニック
院長 産婦人科医 木崎 尚子 先生

地域医療に多面的な取り組みをされている木崎尚子先生は、オンライン診療の分野においても数多くの実績を持ち、精力的にご活躍されています。

※肩書・ご活動の状況などはインタビュー当時(2023年6月)のものです。
※実際の対談は、感染症対策に万全を期して実施いたしました。


――オンライン診療を導入した経緯を教えてください。

ショコラウィメンズクリニックは2021年10月4日に開院しましたが、オンライン診療を導入することは開院当時から考えて準備していました。その理由の1つは、患者さまの利便性の向上です。
病院に勤めていた時に、検査結果の説明や症状が安定している方の継続処方など、短い時間で診察が終わる方に対して、病院内で長くお待ちいただくことや、交通費をかけて来院していただくことに対し、非常に心苦しさを感じるときがありました。
そういった経験から、家や職場などで検査結果を聞いたり、診療を受けたりできることは、患者さまに重宝されるのではないかと思い、導入に至りました。

インタビューに答える木崎先生|日本調剤オンライン薬局サービス(NiCOMS)

――どのような患者さまが、オンライン診療を活用されていますか?

すべての患者さまをオンラインで診療しているわけではありません。患者さまの症状や処方内容を確認し、オンライン診療を行えると判断した方のみ実施しています。その中で、オンライン診療と対面診療、どちらを実施するかは、最終的には患者さまのご希望で決めています。
クリニック側で決めている「オンライン診療を実施する患者さま」の基準は、「簡単な検査結果の説明」や「症状が安定している方の処方」が基本です。ご自身もしくはお子様の突然の体調不良などで、薬がなくなるけれど来院が難しい場合などでも柔軟に対応しています。

現在、クリニックでオンライン診療にあてる時間は、1日30分程度です。そのため、ご相談がある方や、追加で処方する可能性のある方は、オンラインではなく対面に一時的に切り替えて対応したりしています。

また、同じ検査結果の説明でも、がん検診の結果や抗体検査結果の報告、貧血の診察などは診察時間が短いためオンライン診療を活用し、時間がかかるホルモンの説明などは対面で診療を行っています。

オンライン診療を行う患者さまと行わない患者さまを明確に分けることにより、クリニックの全スタッフが同じ認識を持って患者さまにオンライン診療を紹介することができ、混乱や遅滞などが起きないようにしています。

実際にオンライン診療を実施したお母さまからは、「いつも子どもと一緒に通院するのが大変だと感じていましたが、オンラインで診察してもらえると、その負担がなくなるのでとても助かります」というお言葉をいただいています。

――オンライン診療のメリット・デメリットを教えてください。

患者さまのメリットとしては、家や職場など、ご希望の場所で、診療を受けることや検査結果を聞くことができることです。来院に使う時間の削減になりますし、交通費の負担も減ります。

また、クリニック側にも大きいメリットがあります。検査結果の説明や処方内容に変化がない方への処方箋の発行は比較的短時間で完了するため、対面ではなくオンラインの方が効率良く実施できます。それにより、クリニックで対面診察を行う患者さまの待ち時間も短縮でき、スムーズに診察を行うことが可能となりました。

一方、デメリットは、患者さまにオンライン診療サービスの使用料がかかったり、アプリを導入する必要があることが考えられます。また、画面を通しての診察になるため、患者さまの状態をすべて把握することはできませんし、血圧なども自己申告となります。
当院では、オンライン診療を行っている患者さまにも、少なくとも年に1回は来院し、採血やエコー検査などを受けていただいています。

――オンライン診療を行う際に、大切にしていることはありますか?

1つは、“オンライン診療をいつ実施するかを事前に決めておくこと”が重要です。外来患者さまの診療の合間や、クリニックの診察時間終了後に行うと、診療の終了時刻が非常に読みづらくなります。オンライン診療専門の人員を確保せず、限られた人数の医師で実施するには、クリニックの「診察が始まる前」の時間帯に計画して実施すると良いです。
通常の診療枠とオンライン診療の時間帯を区別することで、対面での診察を中断することもなく、院内でお待ちいただいている患者さまにも迷惑はかかりません。通常の診療枠を減らすことなく、診察できる患者数を増やすことができますし、診察時間の終了時刻を変えることもありません。これにより収益の増加が見込めますし、医師の働き方改革にもなるのではないかとも思っています。

もう1つは、“患者さまとしっかりコミュニケーションをとること”が重要です。オンライン診療を行うケースと行わないケースがありますので、それを患者さまに説明してご納得いただく必要がありますし、患者さまの症状について、きちんと話をきいて把握しなくてはなりません。
当クリニックは、ビデオ通話で顔が見えるオンライン診療システムを使っており、カメラ越しでも患者さまの表情がはっきりわかるため、コミュニケーションが取りづらいと感じることはありません。しっかりと顔を見て診察しているという感覚があります。

オンラインでも通常の対面診察と変わらず、しっかり顔を見て患者さまとコミュニケーションをとって診察を行う体制をつくることが非常に大事だと思います。

クリニックの様子1|日本調剤オンライン薬局サービス(NiCOMS)

――今後のオンライン診療の展望を聞かせてください。

オンライン診療は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大予防の特別措置として急激に拡大したシステムですが、オンライン診療自体のニーズは今後もとても高いと思っています。
患者さまの年齢層などもあり、すべてのクリニックで利用者が急に増えることは難しいと思いますが、裾野は広がっている気がします。
オンライン診療は、これからも必要な診療方法の1つとして積極的に取り組んでいきたいと考えています。

クリニックの様子2|日本調剤オンライン薬局サービス(NiCOMS)

病院情報

ショコラウィメンズクリニック

URL: https://choco-cl.com/
住所:神奈川県横浜市都筑区葛が谷10-16-2F

プロフィール

木崎 尚子

ショコラウィメンズクリニック 院長
専門:産婦人科
東京女子医科大学卒業。医学博士。
2010年から産婦人科医として、大学病院や一般病院で11年間勤務。東京女子医科大学産婦人科学講座の助教も務めた。
現在は、あらゆる年齢層の女性が気軽にリラックスして受診できる温かいクリニックを目指し、ひとりひとりの悩みに寄り添い、かかりつけ医として日々診療を行っている。(敬称略)

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