2023.10.10|更新日:2023.10.10オンライン診療オンライン服薬指導

高齢者も便利なオンライン診療を受ける時代!高いスマホ利用率とITリテラシー

スマートフォンやパソコンがあれば時間や場所の制限なく受診できるオンライン診療ですが、高齢の患者さまが多く、オンライン診療を導入しにくいと考えている方も多いのではないでしょうか。また、今後の更なる高齢者の増加により、受診年齢層も高齢化していくと考えられます。デジタルツールを使いこなせないイメージがある高齢者ですが、今後の高齢化に合わせてどのようなアプローチが必要になってくるのでしょうか。今回は、高齢者のスマートフォン利用率やITリテラシーから、高齢者のオンライン診療の活用について解説します。

高齢者のスマートフォン利用率と活用

通信機器などのデジタルツールに苦手意識がある印象の強い高齢者ですが、内閣府(2020)「情報通信機器の利活用に関する世論調査」を基に総務省が作成した「スマートフォンやタブレットの利用状況(年齢別)」では70歳以上の「よく利用している」・「ときどき利用している」の合計は40.8%と半数以下ではありましたが、60代の合計は73.4%と7割を超える結果となっています。現在の60代が70代をむかえる10年後には、利用率がさらに上がっている可能性があります。

【出典】令和3年版情報通信白書(総務省)(https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/html/nd111430.html)を基に加工して作成

また、総務省「通信利用動向調査」を基にした総務省作成「インターネット利用率(個人)の推移」では、1997年にはわずか9.2%であったインターネット利用率が2021年には82.9%となっています。約20年の間で著しい伸び率となっており、スマートフォンに限らずとも、パソコンやタブレットを含め高い割合でインターネットが利用されています。

【出典】令和4年版情報通信白書(総務省)(https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r04/html/nd238110.html)を基に加工して作成

さらに、「高齢者はデジタルが苦手」・「SNSは若い世代が使用するもの」というイメージがありますが、同調査を基にした総務省作成「年齢階層別SNSの利用状況」によると、70代の2021年のSNSの利用状況は60%を超えています。80代でも、半数近くの方がSNSを利用しています。SNSの主な目的は情報発信・情報収集・コミュニケーションであり、半数近くがデジタルデバイスでオンライン上のコミュニケーションを利用しているのです。

【出典】令和4年版情報通信白書(総務省)(https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r04/html/nf308000.html#d0308200)を基に加工して作成

では実際にインターネットを利用し、どのような行動をしているのでしょうか。「年齢階層別インターネット利用の目的・用途(複数回答)(2021年)」では、60歳以上の方は「電子メールの送受信」、「SNS(無料通話機能を含む)の利用」、「情報検索」の項目で65%を超える利用率となっています。「商品・サービスの購入・取引」の項目では全体の割合が60%弱、60歳以上の割合は40%超となっています。オンライン診療の認知度が低い背景から「オンライン診療の利用」も少ないですが、オンライン診療の実施・操作に必要なデジタルスキルを既に習得している高齢者は多くいらっしゃると考えられます。

【出典】令和4年版情報通信白書(総務省)(https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r04/html/nf308000.html#d0308190)を基に加工して作成

「オンライン診療」といえば、「高齢者はデジタルが苦手だから難しい」・「説明するのが大変」というイメージが先行してしまうことがありますが、実はスマートフォンやインターネットのサービスを利用している方は多く、主な患者さまが高齢だからといってオンライン診療の導入をやめてしまうことは機会損失にもつながってしまうかもしれません。

高齢者の通院負担軽減 移動時間・待ち時間がかからないオンライン診療

スマートフォンやタブレット、パソコンを使いインターネットを利用している高齢者が多いことがわかりましたが、高齢者がオンライン診療を行うことにはどのようなメリットがあるのでしょうか。
待ち時間や移動時間などの通院負担の観点から、オンライン診療を取り入れるメリットについて解説していきます。

通院は、高齢者に限らず、移動時間や病院と薬局の待ち時間を合わせると1日がかりになってしまうということも少なくありません。

体力が低下してきた高齢者や足腰が悪い方にとってはこれだけでも疲弊してしまう原因にもなり、付き添うご家族の負担が大きいのも現状です。

一方で、オンライン診療では、予約をした時間にビデオ通話で診察を行うため、通院にかかる移動時間や待ち時間がかからず、負担なく診療を受けることが可能です。また、全てをオンライン診療に切り替えるのではなく、天候不良時や体調不良時、ご家族の付き添いが困難な時など、状況に合わせてオンライン診療を取り入れることで時間を有効活用することができます。

また、ご自宅で一緒にデジタル端末を操作できるご家族がいれば、高齢者でもオンライン診療を取り入れるハードルも下がります。パソコンやタブレットを使えば、大きい画面で同じ診察室に入るようなイメージでご家族と一緒に話を聞くこともできるため、ご家族にとっても安心です。

上手に対面診療とオンライン診療を組み合わせることで患者さまの生活の質の向上も期待できるため、医療機関として「オンライン診療の選択肢」をもつことは患者さまへの提案の幅を広げることにもつながります。

在宅診療でのオンライン診療活用

高齢化の影響により、今まで外来通院をされていた患者さまが通院困難になり、在宅診療を希望されるという経験がある医療機関も多いのではないでしょうか。その背景には、通院が困難になっても、「地域のかかりつけ医の診療を継続して受けたい」と希望する患者さまが多くいらっしゃるからだと考えられます。今後も進行する少子高齢化、遠隔地の過疎化に対して、どのようなオンライン診療の活用方法があるのでしょうか。ここでは、在宅診療におけるオンライン診療の活用について触れます。

1.医師の移動なく患者さまの顔を見て診療ができる

在宅診療では、医師が患者さまの自宅に訪問するため、多忙な業務の中で外来診療と両立しながら在宅訪問回数を増やすことは困難です。また、外来診療と異なり在宅診療では移動時間もかかります。

医師の移動を伴う在宅診療では、オンライン診療を取り入れることによって医師が移動しなくて良いことがメリットになると考えられます。状態が落ち着いている患者さまの診療で、簡単な問診であればオンライン診療が可能です。オンライン診療への代替で時間を有効活用することにより、外来の診療時間や他の患者さま宅への訪問時間に充てることができます。

また、オンライン診療は往診要否の判断基準としても有効です。従来の電話対応の場合、情報量不足により判断がつきにくく、判断がつかない場合は臨時往診になりますが、オンライン診療を活用すれば映像により顔色や表情、実際の怪我の様子や嘔吐物まで確認することができます。精度の高い情報を得ることができるため、より確実な判断に役立ちます。

また、患者さまやご家族にとっても医師の顔を見て会話ができることで安心につながります。どのくらいの緊急度なのかの判断がつきにくく、患者さまとしても医師に臨時往診をお願いしても良いのか遠慮してしまうことがありますが、ビデオ通話でリアルタイムに状況を伝えることで医師の負担を軽減しながら診療してもらえる安心感を得ることができます。

2.訪問看師が同席したオンライン診療

在宅診療を受ける方の多くは後期高齢者の患者さまであり、高齢者のスマートフォン利用率が上昇してきているとはいえデジタル端末の取り扱いが苦手な方もいらっしゃいます。

そのなかで、オンライン診療の体制として、「平成30年度 第3回オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」では「D to P with N (患者が看護師等といる場合のオンライン診療)」として「患者の同意の下、オンライン診療時に、患者は看護師等が側にいる状態で診療を受け、医師は診療の補助行為をその場で看護師等に指示することで、薬剤の処方にとどまらない治療行為等が看護師等を介して可能となるもの。」と記載されています。訪問診療を行っている医師と、事前に連携をとっている看護師であれば、看護師が訪問し端末操作を補助することによりオンライン診療を行うことが可能です。

高齢で情報通信機器の取り扱いが難しい場合でも看護師が端末操作を支援することができ、且つ医師は医療機関から患者さま宅へオンラインで繋ぐことにより移動時間を削減することができます。また、オンライン診療にて点滴や注射などの診療の補助行為を行うことも可能なため、よりオンライン診療の可能性は広がっています。

【参考】平成30年度 第3回オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_04246.html

高齢者が多いという理由でオンライン診療を始めないのは損!テレビで受けられるオンライン診療も

高齢者の高いスマートフォン利用率や今後の利用率上昇の見込みから、高齢者にとってもオンライン診療が身近なものになりつつあることがわかります。オンライン診療の認知度こそ低いものの、コロナ禍にスマートフォンを使用して離れた家族とビデオ通話をしたり、インターネットショッピングをしたり、高齢者にとっても、オンライン上のサービスは生活の一部となっています。

また、自宅のテレビを使用してオンライン診療が受けられる「J:COMオンライン診療」などのサービスも始まっています。テレビ画面上で予約から診察が受けられるため、スマートフォンの操作に慣れていない方も簡単に利用できます。スマートフォンやパソコンを持っていない患者さまへも、診療の提案の幅を広げるチャンスにつながります。

<「J:COMオンライン診療」でのおくすり受け取りサービスの利用イメージ>

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高齢層の患者さまへのオンライン服薬指導の実績も豊富な日本調剤がオンライン診療の導入から運用まで伴走します。
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