近年、医療のデジタル化が進み、オンライン診療が注目されています。
オンライン診療には、時間や場所の制約を解消し、患者さまと医師とのコミュニケーションをスムーズにするという利点があるため、特に開業医やクリニックの医師にとっては、患者さまの利便性向上や医療提供の幅を広げるために、オンライン診療システムの導入が重要です。
オンライン診療の概要とメリット
オンライン診療では、スマートフォンやタブレット、パソコンなどを使用して、医師と患者さまがリアルタイムでコミュニケーションを取り、診療を受けることができます。患者さまは自宅やオフィスなどの場所から診察を受けることができ、医師も自身のクリニックから診療を行うことが可能です。
オンライン診療における患者さまのメリットとしては、主に以下の5つのようなことが挙げられます。
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便利さ
自宅やオフィスなど、場所を選ばず利用できます。通院や待ち時間の手間が省けるため、忙しい人や遠方にお住まいの方にとって特に便利です。
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時間の節約
オンライン診療では、予約時間に合わせてオンラインで医師とのコンサルテーションができます。待ち時間が少なく、効率的に診療を受けることができます。
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感染リスクの軽減
特に感染症が流行している時期には、人混みの中での診療は感染リスクがありますが、オンライン診療であれば自宅で診察を受けることができるため、感染リスクを軽減することができます。
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アクセスの改善
遠隔地や地域医療の少ない地域に住んでいる方にとって、オンライン診療はアクセスの改善につながります。専門医や遠隔地の医療機関へのアクセスが容易になり、必要な医療を受けることができます。
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経済的な利益
オンライン診療では、通院や交通費、駐車場代などの費用を節約することができます。
薬局との連携の重要性
オンライン診療後の重要なプロセスの1つが、処方箋の発行と薬局との連携です。
オンライン診療後にお薬を受け取る方法には、薬局での対面受け取りとオンライン服薬指導後の配送受け取りの2つがあります。医療機関からFAXで薬局に処方箋を送信するか、電子処方箋を発行することで、オンライン診療後に薬局での調剤が可能になります。
このような薬局との連携は、患者さまの利便性を高めるだけでなく、医療の効率性も向上させます。
法律・規制の最新情報
オンライン診療と薬局処方箋には、法律や規制が関与します。医師や医療機関は、オンライン診療の運用において法的な要件を遵守する必要があります。
また、薬局との連携においても、処方箋の送信や薬の受け取りに関する法律や規制の更新情報に注意が必要です。医師が適切な運用上の注意点を把握し、患者さまの安全性とプライバシー保護を確保することが求められます。
導入のステップ
オンライン診療を開始するにあたって、医療機関では、下記の対応を実施する必要があります。
1. オンライン診療の施設基準
情報通信機器を用いた場合に初診料、再診料、外来診療料を算定するために、地方厚生局へ施設基準の届出が必要です。
2. オンライン診療に関する研修を受講
情報通信機器を用いた場合に初診料、再診料、外来診療料を算定するためには、厚生労働省が終了必須としている研修を受ける必要があります。
3. オンライン診療システムの選定・導入
オンライン診療を実施するにあたり、ツールの選定が必要です。ZoomやMicrosoft Teamsなどの汎用サービスのほかに、オンライン診療専用のシステムもあります。
4. オンライン診療に使用する機材の準備
オンライン診療には、インターネットに接続しているパソコンやスマートフォン、タブレットを使用します。医療機関・患者さまともにこれらの機材を準備しておく必要があります。
5. 行政への届け出
施設基準を満たしたら、地方厚生局へ書類を提出します。
また、医療機能情報提供制度(医療情報ネット)に、オンライン診療実施の有無や、その内容を掲載することができるため、患者さまがクリニックを検索しやすいように、随時内容を更新するとよいです。
6. 患者さまの合意取得と診療計画書の作成
オンライン診療の実施には、患者さまにオンライン診療について説明して同意をいただいた上で、診療計画を作成してお伝えする必要があります。
なお、オンライン診療システムの導入方法は、こちらの資料で詳しく説明しています。
まとめ
オンライン診療と薬局との連携により、医療サービスの向上の可能性が広がります。
オンライン診療は、医療の進化と患者の利便性を追求する一環として、注目されるべき分野です。