2024.07.05|更新日:2024.07.05オンライン診療

オンライン診療でインフルエンザを乗り切る

インフルエンザの季節が近づくと、多くの人が感染のリスクにさらされます。発熱や咳、のどの痛み(咽頭痛)など、風邪のような症状を呈するこのウイルス性疾患は、特に冬場に流行することが多いです。そんな中、オンライン診療は、感染リスクを低減しながら適切な医療サービスを行うための重要な手段として注目されています。

インフルエンザとは?

インフルエンザは、インフルエンザウイルスによって引き起こされる呼吸器感染症です。発熱、咳、のどの痛み(咽頭痛)、筋肉痛、関節痛、全身倦怠感などの症状が急激に現れるのが特徴です。感染経路は、主に飛沫感染や接触感染であり、人から人へと伝播します。
インフルエンザの予防には、流行前のワクチン接種、外出時のマスクの着用、外出後の手洗い、人混みや繁華街を避けるなどの基本的な感染予防策が有効です。また、十分な栄養と休息を取ることも重要です。

オンライン診療でのインフルエンザ対策

オンライン診療では、インフルエンザの症状が出たときに、患者さまは自宅から医師の診察を受けることができます。スマートフォンやパソコンを使用して、病院の予約・問診・診察・処方箋受け取り・決済までを自宅で完結することができます。
またオンライン診療を利用することで患者さまの来院の必要がなくなります。来院によるインフルエンザの院内感染の防止につながります。院内感染の防止は来院してくださった他の患者さまだけでなく医療従事者(従業員)の感染リスクの低減にもなります。

オンライン診療によるインフルエンザの診断と治療過程

オンライン診療では、患者さまの症状や流行状況などから、医師が総合的に判断しインフルエンザと診断することがあります。特に、検査キットの結果が陽性の患者さまでインフルエンザが疑われる場合には、迅速な対応、処方を行うことができます。
一方でオンライン診療では適切な計測や検査ができないため対面診療に比べて得られる情報が少ないという欠点があります。オンライン診療によるビデオ通話だけではインフルエンザと判断することが困難な場合や、患者さまの容態によってはすぐに対面による処置が必要と判断する場合も出てきます。こういった状況によってはオンライン診療から速やかに対面診療に切り替える必要があります。対面診療に切り替える準備として、院内感染のリスク低減のために発熱外来を設けることが出来る場合は設けたり、難しい場合でも一般患者と待合室や診察室を分けるなどの対応を行うことが重要です。

オンライン診療の限界と注意点

オンライン診療では、直接検査を行うことができないため、診断に限界があります。重症化リスクまた重症化の兆候を見逃してしまうリスクや、迅速な物理的治療が必要な場合は、速やかに対面診療に切り替える判断をすることが必要です。
「第9回オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」においても「インフルエンザ疑い患者に対してオンライン診療を行うことについて」とインフルエンザ患者のオンライン診療を行うことについて議論、検討されています。

◯ 特に急性疾患による新たな症状に対してオンライン診療行うリスク(再掲)

1.すぐさま治療が必要なケースに対応ができないリスク

患者の状態によってはすぐさま酸素投与や投薬が必要なケースが一定程度生じるが、オンライン診療では対応が困難。(喘息発 作、クループ症候群、急性喉頭蓋炎等)

2.重症化徴候を見逃すリスク

インフルエンザ等の感染症においては、一定の確率でインフルエンザ脳症や肺炎を発症するが、オンライン診療でその徴候を把握す ることは困難。特にインフルエンザと多くの重複感染が報告されている新型コロナウイルス感染症は、自覚症状がないにも関わらず、 SpO2の低下やCT上の顕著な肺炎が多いとされている。(インフルエンザ脳症、細菌性肺炎、新型コロナウイルス肺炎等)

3.患者が想定した疾患以外を見逃すリスク

インフルエンザを疑って迅速診断キットを用いても、同様の症候を呈しうる疾患である溶連菌感染症、虫垂炎、尿路感染症などを オンライン診療では見落とす可能性があり、それにより一部重篤化することも考えられる。

厚生労働省 第9回オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会「資料2インフルエンザ疑い患者に対してオンライン診療を行うことについて」より抜粋

オンライン診療から対面診療に切り替えを行う際には患者さまが医療機関を受診することによる感染拡大のリスクも考えて判断をする必要があります。
インフルエンザの疑いがある患者さまをオンライン診療する際には、想定した疾患以外の見逃しや重症化リスクと感染拡大のリスク対応を比較考量し判断しなければなりません。

まとめ

オンライン診療は、活用することでインフルエンザシーズンも安心して適切な医療サービスを行うことができる手段の1つです。オンライン診療の活用により患者さまだけでなく医療従事者の感染予防にもなります。ただし、症状が重い場合や迅速な対応が必要な場合は、オンライン診療の限界を理解し、必要に応じて対面診療に切り替えることが大切です。

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