2024.08.02|更新日:2024.08.09オンライン診療オンライン服薬指導

開業医・クリニック医師必見!オンライン診療の実施手順と導入の流れ解説

本記事ではオンライン診療を実施する際の一通りの流れや、オンライン診療の導入にあたり、必要な準備について解説します。オンライン診療の導入を検討している方はもちろん、近年の患者数減少が課題の1つとなっている地域密着型のクリニックの医師の皆さんにおいても、課題解決のヒントになるかもしれません。

オンライン診療とは

オンライン診療は、スマートフォンやタブレット、パソコンなどを使い、自宅やオフィスにいながら医師の診察や薬の処方を受けることができる診療です。厚生労働省による規制緩和により、オンライン診療の普及が進んでいます。 オンライン診療の特徴は、場所や時間に制約されずに医療を受けることができることです。また、遠隔地に住む患者さまや移動が困難な方々にとっても利便性が高く、医療アクセスの向上にもつながります。

オンライン診療の流れ

実際に患者さまがオンライン診療を実施する場合、どのような流れで進めるのでしょうか。患者さまの動きにあわせて、クリニック側がどのような準備や対応を行う必要があるのか説明します。

医療機関の検索

患者さまはまずオンライン診療が可能なクリニックを医療機関検索などから見つけ、予約を行います。このとき、貴院がオンライン診療を実施していることを広く周知することでより多くの集客が見込まれるでしょう。

<周知方法の例>

  • クリニックのホームページでオンライン診療の案内を掲載
    検索エンジンでの表示順位を上げるため、適切なキーワードを用いると検索にヒットしやすくなります。
  • オンライン診療サービス運営会社などが提供する医療機関検索ページに掲載
    日本調剤では「オンライン診療検索 NiCOナビ」を運営しております。
  • SNSやブログを活用してクリニックの取り組みやオンライン診療に関する情報を発信
  • ポスターやチラシを作成し院内に掲示、設置

オンライン診療の予約

患者さまは希望する診療科であるか、初診・再診に対応しているか、診療時間内に受診可能かなどを確認し、予約を行います。このとき、オンライン診療に必要なWebサイトの登録やアプリインストールを行うとともに、氏名や性別、生年月日、住所、電話番号等の個人情報も登録することが一般的です。また、初診の場合は健康保険証の情報や問診票の入力も必要になります。

オンラインで診療する

患者さまはスマートフォンやパソコン、タブレットなど、ビデオ通話機能を搭載した機器を使って診療を受けます。適切にオンライン診療を実施するためにも十分な機材やシステムが整っていることが重要であるとともに、遅延や切断のない安定した通信環境が求められます。また、患者さまがオンライン診療を受ける場所は、対面診療が行われる場合と同程度に清潔かつ安全な場所であり、さらにプライバシーが保たれるよう物理的に外部から隔離される空間である必要があります。医師はオンライン診療を受ける場所やシステムについても患者さまへ適切に説明し、協力を得ることが重要です。

処方箋の発行と取り扱い

オンライン診療後は処方箋を発行することもあるかと思います。ここではオンライン診療から患者さまがお薬を手にするまでの流れを2パターンご紹介します。

[パターン1] オンライン診療で受診 + 対面で服薬指導
患者さまはオンライン診療後、薬局を訪れて対面にて服薬指導を受け、お薬を受け取ります。

[パターン2] オンライン診療で受診 + オンライン服薬指導
患者さまはオンライン診療後、オンラインで服薬指導を受けます。この時、お薬の受け取り方法は直接薬局に取りに行く、もしくは配送から選ぶことが可能です。なお、対応は薬局によって異なるため、確認いただく必要があります。

オンライン診療は対面診療と異なる点がいくつかあるため、薬局との連携も重要です。こちらの記事で詳しくご紹介しておりますので、ぜひお役立てください。
【参考】オンライン診療でも重要な薬局との連携

オンライン診療の導入

ここまではオンライン診療の流れを確認しましたが、実際に導入するとなるとどういった準備が必要でしょうか。これからご紹介する4点をクリアし、オンライン診療の導入を目指しましょう。

オンライン診療研修の受講

まずは厚生労働省が実施しているオンライン診療研修を受講しましょう。「オンライン診療の適切な実施に関する指針」において、医師は、オンライン診療に責任を有する者として、研修を受講することが義務とされています。
【参考】開業医・クリニック医師必見!オンライン診療研修のすすめ

厚生局への届け出

次の2種類の書類を作成し、厚生局へ届け出を行います。これらの書類を提出することで、オンライン診療を行い「情報通信機器を用いた診療」として診療報酬を得ることができます。

  • 基本診療料の施設基準等に係る届出書(別添7)
  • 情報通信機器を用いた診療に係る届出書添付書類(様式1)

機材準備

オンライン診療に適切な機材を準備します。あわせて安定したインターネット環境が整っているかを確認しましょう。オンライン診療システムによってはパソコンのみ対応可能という場合があるため、お使いになるシステムをご確認ください。また、機材にカメラやマイクが付いていない場合は別途Webカメラやマイクの準備が必要です。

実施方法の検討、ツール選定

続いてオンライン診療をどのように実施するかを検討するとともに、使用するツールを選定します。最近では多くのオンライン診療システムが誕生していますので、使いやすさや機能性、セキュリティなどを考慮し、貴院の運用に合ったツールを選びましょう。オンライン診療システムは、患者さま情報の管理や予約管理、診察の記録など、様々な機能を備えているため、ニーズに合ったシステムを導入することで、効率的な診療を実現することができます。

オンライン診療の導入に関して、ここでは簡単な紹介となりましたが、日本調剤では「オンライン診療導入ガイド」をご用意しておりますので、よろしければこちらをダウンロードいただき、貴院のオンライン診療の導入にお役立てください。

オンライン診療導入ガイド

【こんな方におすすめ】

  • オンライン診療の導入を検討している
  • オンライン診療導入の基本的な手順を知りたい
  • オンライン診療を導入したいが、なにから始めたらいいか分からない

オンライン診療を実施する上での注意点

オンライン診療に適していない症状

オンライン診療は便利である一方で、対面診療に比べて診断が難しい症状もあります。具体的には、緊急性の高い症状や、直接診察が必要とされる症状です。 オンライン診療では対応が難しい症状の一例として、高熱や呼吸困難、胸痛などの急性症状が挙げられます。また、複雑な検査や治療が必要な病気や外傷、消化器系や循環器系の病変なども対面診療が望ましい症状です。
これらの症状に対してオンライン診療を受けることは、正確な診断や適切な治療が遅れるリスクがあります。そのため、オンライン診療ではなく、対面診療や緊急時の対応が求められる場合も多く存在します。オンライン診療を利用する際には、症状と状況をよく考慮し、適切な方法を選択することが重要です。

登録や決済の方法について

オンライン診療の登録や決済については、医療機関やサービスによって異なります。
多くの場合、専用のアプリやWebサイトを利用して、個人情報や症状を入力し、初診時には問診票の記入も求められることがあります。そして、予約や診療の申し込みを行う際には、クレジットカードや銀行振込、電子決済サービスを利用して支払いが行われます。医療保険が適用される場合でも、自己負担額に応じて支払いが必要です。
また、診療後に医療機関から患者さまへ請求書を送付する場合もあります。
オンライン診療の登録や決済に関する詳細は、各医療機関のWebサイトやアプリで確認できることが多いです。患者さまへ正しく説明できるよう、事前に確認しておくことで、スムーズに診療を受けることができます。

通信環境や機器の不具合を対応するうえでの注意点

オンライン診療を円滑に進めるためには、通信環境や機器の不具合に対応することが重要です。まず、インターネット回線の安定性を確認し、必要に応じてWi-Fiや有線接続を検討してください。また、最新のアプリやシステムを導入し、アップデートもこまめに行いましょう。オンライン診療を行う際に使用する機器は、カメラやマイクが正常に動作することを確認してください。
なお、通信トラブルが起こった場合、適切な対応が求められます。トラブルが発生した際は、まず相手に連絡を行い、状況を説明しましょう。次に、問題の原因を特定し、対処法を検討してください。原因が特定できず、解決が難しい場合は、専門家に相談することも視野に入れましょう。
患者さまに対しても、通信環境や機器のトラブルに十分配慮し、安心してオンライン診療を受けられる環境を整えてあげることが大切です。

個人情報やセキュリティ

オンライン診療の実施においては、セキュリティ面も大変重要です。患者さまの個人情報や診療データを適切に保護するために、セキュリティ対策にも注意を払いましょう。また、ビデオ通話時に患者さま同士が鉢合わせることのないよう、待機室を設けるなどの工夫も必要です。さらにデータの暗号化やアクセス制御など、適切なセキュリティ対策を施すことも必要となります。

処方箋やお薬について

オンライン診療を実施する際に気になるのが、処方箋やお薬の取り扱いです。オンライン診療では、医師が患者さまの症状や状態を確認し、適切な処方箋を発行することが可能です。医師は症状や状態を確認し、必要であれば処方箋を作成します。

処方箋を薬局に送信する

オンライン診療では、処方箋を薬局に送信する方法があります。まず、医師が患者さまの症状を診察し、適切な処方箋を発行します。その後、処方箋を電子データとして登録し、指定された薬局に送信します。
薬局が処方箋を受け取ると、薬剤師が必要な薬を調剤し、患者さまに郵送または配送されます。患者さまは自宅で薬を受け取り、医師や薬剤師から電話やビデオ通話による服薬指導を受けることができます。
ただし、対面での服薬指導が必要とされる薬や、特定の症状に対してはオンライン診療での処方ができない場合もありますので、注意が必要です。また、システムを運営する会社や、医療機関によって送信方法や対応範囲が異なることもあります。
オンライン診療を利用する際は、事前に医療機関や薬局に確認し、適切な手続きを踏むことが大切です。

服薬指導や検査結果もオンラインで対応可能!?

オンライン診療では、服薬指導や検査結果の確認も可能です。
例えば、処方されたお薬についての服用方法や注意点を、医師や薬剤師からビデオ通話を通じて説明を受けられます。これにより、患者さまは自宅からでも適切な服薬指導を受けることができるため、通院の手間や感染リスクが軽減されます。
また、検査結果もオンラインで確認することが可能です。専用のアプリやWebページにログインして、検査結果や医師からのコメントを確認できるサービスが多く利用されています。さらに、検査結果に関する質問や相談も、オンラインで行うことができるため、患者さまの不安をすぐに解消することが可能です。
オンライン診療は、初診からフォローアップの診察まで幅広く対応しており、一般的な症状や疾患に対しても利用可能です。ただし、オンライン診療が適切でないケースもありますので、まずは医師がオンライン診療の実施が可能かの判断を行う必要があります。

患者さまに選ばれるために

患者さまに選ばれるためには、まずオンライン診療の導入をご検討ください。オンライン診療の導入によって、患者さまの利便性が向上し、感染症の防止対策となるだけでなく、不要な通院負担を軽減することができます。

感染症の防止対策

オンライン診療は感染症の防止対策としての役割があります。特に、新型コロナウイルス感染症のような感染症が流行している時期には、患者さまが自宅から診療を受けることで、病院や診療所への移動や接触を最小限に抑えることができるため、オンライン診療は重要な役割を果たします。

通院や待ち時間の削減

患者さまは自宅やオフィスから診察を受けることができるため、交通や駐車場の問題、待ち時間のストレスなどを軽減することができます。さらに、医療アクセスの向上も実現します。遠隔地に住む患者さまや移動が困難な方々も、オンライン診療によって医療サービスを受けることが可能となります。

さらに、医療機関にとっても診療スケジュールの調整が容易となり、スタッフの労力や時間を節約できるでしょう。また、利用方法や予約方法を分かりやすく説明することも大切です。質問や問題が発生した際には、迅速かつ丁寧な対応で患者さまの不安を解消しましょう。さらに、安全性やプライバシーの確保にも力を入れることで、患者さまが安心して診療を受けられる環境を提供できます。地域密着型の診療所やクリニックがこれらの取り組みを進めることで、多くの患者さまから選ばれる存在となり、地域の医療に貢献できるのではないでしょうか。

オンライン診療の課題と解決策

オンライン診療にはまだまだ課題も存在します。オンライン診療の普及と発展には、それぞれの医療機関が課題に対する解決策を見つけ、1つ1つ解決することでオンライン診療の品質を向上させることができます。

コミュニケーションの質

患者さまと医師の間のコミュニケーションの質を確保するために、テクノロジーを活用したコミュニケーションツールや診察支援ツールの導入が有効です。ビデオ通話やチャットだけでなく、画像や動画の共有、オンライン診察の記録や処方箋の電子化など、さまざまなツールを活用することで、診療の質を向上させることができます。

セキュリティ

オンライン診療におけるデータのセキュリティも重要です。患者さまの個人情報や診療データを適切に保護するために、セキュリティ対策を徹底する必要があります。データの暗号化、アクセス制御、定期的なセキュリティチェックなどを行うことで、データの漏洩や不正アクセスを防止することができます。

課題解決に向けて

オンライン診療の課題に対する解決策としては、事例や医療機関の実体験の確認も有効です。他の医療機関の取り組みや成功事例を学び、それを参考に自身の診療に活かすことができます。また、医療機関同士の情報交換やネットワーキングも重要です。オンライン診療における課題や解決策について、医療関係者同士で意見を交換し、共通の課題を解決することができます。

まとめ

今回はオンライン診療に関連する流れを一通りご紹介いたしました。オンライン診療の導入にあたり、事前準備で対応することも多く、日々の診療や業務で忙しい医師の皆さんにとってはなかなか踏み出せないこともあるかと思います。日本調剤では医療のオンライン化へ積極的に取り組んでおり、経験豊富な薬剤師が貴院のオンライン化に伴走させていただきます。また、患者減少に悩み新たにオンライン診療に挑戦する医師の皆さまのお手伝いもできますので、些細なことでもぜひご相談ください。

オンライン診療、オンライン服薬指導に関するご相談は、お気軽にお問い合わせください。

日本調剤は医療のオンライン化にいち早く取り組み、豊富な実績がございます。

全国700店舗以上のスケールメリットを活かした"課題解決力"で、患者さまの治療に貢献するべく、貴院のオンライン化に伴走させていただきます。

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