オンライン診療の導入を検討している方のために、オンライン診療における処方箋の原本の取り扱い方法について詳しく解説します。また、オンライン診療システムと親和性の高い、電子処方箋についても説明します。
オンライン診療の概要
オンライン診療とは、インターネットを通じて医師と患者さまが遠隔で診察や処方箋の発行を行う医療サービスです。患者さまは自宅やオフィスからスマートフォンやパソコンを使って診療を受けることができます。オンライン診療は、病院への通院が難しい患者さまや時間を節約したい患者さまにとって大変便利な方法となっています。
オンライン診療での処方箋の原本の取り扱いについて
オンライン診療では、処方箋の発行も行われます。患者さまが診療を受けた後、医師は適切な処方箋を作成します。処方箋の原本は、紙の形式または電子形式で発行されます。
紙の処方箋を発行する場合
処方箋の原本を紙で発行する場合、処方箋の原本には患者さま情報や薬剤の詳細が含まれるため、適切に管理・保管しなければなりません。また、処方箋の原本は患者さまのプライバシー保護に関する法律や規制に従って取り扱われる必要があります。
発行した処方箋を患者さまの自宅等に郵送し、患者さま自身で処方箋を調剤薬局に持ち込んだり送付したりすることも可能ですが、この方法では処方箋が患者さまの手元に届くまで時間がかかってしまいます。
そこで、医療機関と調剤薬局の間で処方箋を直接やり取りすることにより、患者さまの手間や処方箋送付にかかる時間を削減することができます。この方法の場合、医療機関では以下の対応を実施します。
1. 処方箋を発行する
このとき、備考欄に「オンライン対応」と記載しておくことで、処方箋を受け付けた薬局ではFAX処方箋等を原本とみなして調剤することが可能になります。 また、必須ではありませんが、備考欄に患者さまの電話番号を記載しておくと、患者さまへの連絡が必要な状況が発生した場合に、病院を介さず、薬局と患者さまの間で直接やり取りができます。
2. 処方箋を調剤薬局に送信する
FAXやメールなどを用いて調剤薬局に処方箋を送信します。このとき、診療録に送付先の薬局を記載しておきましょう。
3. 処方箋原本を調剤薬局に送付する
郵送などの方法で処方箋原本を調剤薬局に送付します。レセプト請求に間に合うよう、翌月5日までを目安に薬局に処方箋原本が届いていることが望ましいですが、詳細は薬局と相談するとよいでしょう。
なお、薬局ではFAXなどで処方箋が届いたら、調剤業務を行います。その後、オンラインまたは対面で服薬指導を実施し、患者さまに薬剤を交付します。処方箋原本が薬局に届いたら、FAX処方箋と原本を突合し、レセプト請求を行います。
電子処方箋を発行する場合
電子処方箋の場合は、処方箋原本のやり取りが必要ありません。
医療機関ではオンライン診療後に電子処方箋管理サービスに処方箋を登録し、患者さまには電子処方箋の引換番号を発行します。
患者さまは電子処方箋の引換番号を調剤薬局に提示します。
調剤薬局では、提示された引換番号を使用して電子処方箋管理サービスから電子処方箋を取得し、調剤・服薬指導を実施します。薬剤の交付後に電子処方箋管理サービスへ調剤内容を登録します。
(※上記対応には、マイナンバーカードまたは保険証での本人確認が必要です。)
電子処方箋の導入による医療機関のメリット
オンライン診療では、電子処方箋の導入が進んでいます。電子処方箋は紙の処方箋と比べて、以下のようなメリットがあります。
誤りやミスのリスクの軽減
電子処方箋では、薬剤名や規格、用法用量について、処方箋発行時の書き間違いや薬局での読み間違いを防ぐことができます。これにより、薬局から医療機関への疑義照会による確認や訂正の作業を削減したり、誤読による誤った調剤を防ぎ、患者さまの安全性向上につながります。
環境への負荷の軽減
薬局が電子処方箋により調剤を行った場合、調剤結果を作成して電子署名をしたうえで、電子処方箋管理サービスに登録します。その後、電子処方箋管理サービスから薬局にタイムスタンプを付与したデータを返し、当該データを薬局で保管することになっています。
電子処方箋管理サービスでは、薬局が調剤結果のデータを5年間電子処方箋管理サービスに保存できる、調剤済み処方箋の保存サービス(※)を提供しています。(※希望制の有償のサービスです。)調剤済み処方箋の保存サービスでは、電子処方箋だけでなく紙の処方箋を含めた調剤結果を保存できます。
電子処方箋の導入とともに調剤済み処方箋の保存サービスの普及も進んでおり、これにより紙の使用量を減らすことができ、環境への負荷を軽減することができます。また、ペーパーレスによるコストカットにもつながります。
診察・服薬指導の質の向上
電子処方箋管理サービスでは、複数の医療機関や薬局で直近に処方・調剤された情報を参照することができます。電子処方箋管理サービスへの情報の登録は、電子処方箋だけでなく、紙の処方箋でも可能です。
処方箋や調剤結果を電子処方箋管理サービスに登録することで、併用禁忌や重複投薬などの情報を、医療機関や薬局の垣根を越えて、スムーズに確認することができます。これにより、医師や薬剤師は診察・服薬指導をより安全で質の高いものにすることが可能です。
なお、「電子処方箋は義務化されている?導入メリットや必要な準備を解説」の記事でも、電子処方箋の基本的知識やメリットについてご紹介しております。ご興味がございましたら、せひお読みください。
また、さらに詳しい内容をご紹介する資料もご用意しております。電子処方箋の導入をご検討の方は、こちらの資料をダウンロードし、ご活用いただけますと幸いです。
電子処方箋導入の医療機関メリット
~オンライン診療との親和性~
【こんな方におすすめ】
- これから電子処方箋を導入したい
- 電子処方箋の仕組みを知りたい
- オンライン診療に電子処方箋を活用したい
まとめ
オンライン診療において、紙の処方箋の原本は医療機関と薬局のやり取りのみで完結させることができます。また、電子処方箋の場合は原本をやり取りする必要がなく、スムーズかつ安全に処方箋を取り扱うことができます。オンライン診療の導入を検討される際は、オンライン診療と親和性の高い電子処方箋の導入についても併せて検討してもよいでしょう。
日本調剤は医療のオンライン化にいち早く取り組み、豊富な実績がございます。
全国700店舗以上のスケールメリットを活かした"課題解決力"で、患者さまの治療に貢献するべく、貴院のオンライン化に伴走させていただきます。