2024.08.23|更新日:2024.09.25電子処方箋

電子処方箋は義務化されている?導入メリットや必要な準備を解説

2023年1月より導入が開始された電子処方箋。医療DXが進んでいくにあたり、電子処方箋の導入は義務化されているのか気になる方も多いのではないでしょうか。本記事では電子処方箋の概要やメリット、導入に必要な準備についてご紹介いたします。

電子処方箋とは

電子処方箋の基本的な定義と役割

電子処方箋は、紙ベースの処方箋をオンライン上で電子化し、医療機関や薬局での処方箋のやり取りを効率化する仕組みです。電子処方箋の導入により、医療機関の業務効率化やデータの活用が期待されており、患者さまの健康増進にもつながるとされています。なお、電子処方箋はアメリカ、イギリス、エストニア、オーストラリアなどで既に普及しており、診療の質向上や紙の保管場所の削減といった効果が実証されています。
また、電子処方箋では、複数の医療機関や薬局で直近の処方や調剤情報を参照し、重複投与のチェックなども行うことが可能です。日本では2023年1月から導入が始まり、医療DX政策の一環として活用されています。
【参考】厚生労働省「1.電子処方箋の概要

紙処方箋との違い

電子処方箋の導入により、処方データがデジタル化され、医師、薬剤師、患者さま間でリアルタイムに薬の情報を共有し、医療の質向上が図られることが期待されています。さらに、複数の医療機関や薬局での処方薬の一元管理や、重複投与や相互禁忌などのチェックも行うことが可能です。
電子処方箋であれば紙の処方箋とは違って患者さまは処方箋を持ち歩かなくても済むため、処方箋の紛失や再発行の心配もなくなります。

厚生労働省「電子処方箋と紙処方箋の違い(医療機関)」より一部抜粋

電子処方箋は義務化されているのか

2023年1月、電子処方箋は医療機関の任意のもとで導入が開始されました。現在でも電子処方箋の導入は義務化されていませんが、政府は2025年3月までに概ねすべての医療機関や薬局に電子処方箋を導入する方針を打ち出しています。

電子処方箋の導入状況
○令和5年1月26日から電子処方箋管理サービスの運用開始。
現在、12,491施設(病院31、医科診療所866、歯科診療所47、薬局11,547)で稼働中。

○導入の事前手続(利用申請)を行った施設数:
66,411施設(病院1,466、医科診療所23,514、歯科診療所12,971、薬局28,460)

厚生労働省「電子処方箋の進捗状況について」より一部抜粋 ※施設数は2024年1月28日時点のもの

電子処方箋のメリット

電子処方箋の導入には次のようなメリットがあります。

過去に服用していた薬のデータを見ることができる

電子処方箋に対応した医療機関では、患者さまご本人の同意がある場合に直近~過去3年分の処方データを参照できるため、より安心安全な医療につなげることができます。

今後過去5年分となる予定

疑義照会の件数削減が期待できる

医師が処方箋を発行する際に電子処方箋管理サービスで項目の不備をチェックするため、形式的な不備による問合せ件数を減らすことができます。これは用法・用量の項目不備や併用禁忌の疑いなどを理由に発生していた疑義照会の削減につながり、疑義照会の件数ならびにそれに伴う人件費の削減にもつながることが期待できます。

また、次のように医療機関だけでなく、患者さまにとっても多くのメリットがあります。
・医療サービスの品質向上が期待できる
・患者さまの薬局での待ち時間削減につながる
・重複処方がなくなり患者さまの薬代の負担軽減につながる
・処方箋紛失のリスク削減 等

日本調剤では電子処方箋導入のメリットをまとめた資料もご用意しておりますので、あわせてご活用ください。

電子処方箋導入の医療機関メリット
~オンライン診療との親和性~

【こんな方におすすめ】

  • これから電子処方箋を導入したい
  • 電子処方箋の仕組みを知りたい
  • オンライン診療に電子処方箋を活用したい

電子処方箋の導入に欠かせない準備

電子処方箋の導入にあたっては主に次のような準備が必要です。
・オンライン資格確認
・HPKIカードの取得と管理
・電子カルテなどの利用システムの設定

オンライン資格確認

顔認証付きカードリーダーや資格確認端末のパソコンにおいては、医療機関等向けのポータルサイト上の設定手順に沿って設定を行い、操作の確認をする必要があります。
なお、オンライン資格確認は患者さまの医療情報を有効活用し、より良い医療を提供していくための医療DXの基盤であることを踏まえ、2023年4月より導入が原則として義務化されました。

HPKIカードの取得と管理

電子署名を行うための準備として、まずHPKIカードの発行申請等を行います。この申請は医師・歯科医師に応じて申請先が異なりますのでご注意ください。

HPKIカードの申請先
<医師>
・日本医師会 電子認証センター
・一般財団法人医療情報システム開発センター(MEDIS)

<歯科医師>
・一般財団法人医療情報システム開発センター(MEDIS)

厚生労働省「電子処方箋導入に向けた準備作業の手引き 【医療機関・薬局の方々へ】令和5年12月 1.4版厚生労働省 医薬局」より一部抜粋

電子カルテなどの利用システムの設定

電子カルテなどのシステムにおいても、電子処方箋に対応した設定に変更する必要があります。加えて、HPKIカードドライバのインストールや読み取り用カードリーダーの接続も必要です。また、必要に応じて医薬品マスタ、用法マスタの更新も実施する必要があります。設定変更が必要な箇所は各医療機関の事情により異なりますので、ご利用になっているシステム事業者へご相談いただきますようお願いいたします。

なお、厚生労働省のホームページには導入に必要な準備作業について、より詳しく記載がありますので参考になさってください。
【参考】厚生労働省「2.医療機関・薬局での電子処方箋導入・運用について

電子処方箋が抱える課題

メリットばかりに見える電子処方箋にも課題があります。電子処方箋の普及においては、患者さまにマイナンバーカードを利用していただくことやオンライン資格システムを導入していることで多くのメリットを享受できるため、これらが普及していない医療機関では、電子処方箋の導入がより難しくなります。
また、個人情報の漏洩のリスクも懸念されます。電子処方箋には患者の個人情報が含まれており、適切なセキュリティ対策が必要なため、医療機関は使用する端末や通信環境に個別でセキュリティ対策を行うことも重要となってきます。

まとめ

電子処方箋の導入は義務化されているわけではありませんが、活用することでオンライン診療に関するコストや業務の削減ができます。医療機関にとっても患者さまにとっても多くのメリットをもたらす電子処方箋は医療DX促進の大きな1歩になることが期待できます。この機会に導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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