2024.09.20|更新日:2024.09.25オンライン診療

電子カルテ普及の現状と導入のメリット

電子カルテ普及の現状と導入のメリットについて、本記事ではその理由と具体的な内容を解説いたします。
電子カルテ導入による診療効率の向上や患者さまのデータ管理の効率化、院内連携の強化といったメリットを理解し、費用やサポート体制の比較などの選定ポイントも押さえた上で、医療機関に適したシステムを見つける手助けとなることでしょう。是非、ご参考になりますと幸いです。

電子カルテ普及率の現状と推移

電子カルテの普及率は、近年医療業界で増加傾向にあります。
その理由としては、診療や患者さま管理の効率化が期待できること、また厚生労働省は遅くとも2030年までに100%とすることを目標に掲げて推奨していることが挙げられます。
しかし、電子カルテの導入にはまだ課題が残っており、全体の普及率は依然として低い状況です。

厚生労働省の医療施設調査「電子カルテシステム等の普及状況の推移」によると、2020年時点での電子カルテ普及率は、一般病院で57.2%でした。
その内訳は、400床以上の病院で91.2%と高く、200床未満の病院では48.8%と低く、主に病床規模の大きい病院で導入が進んでいることが分かります。
病床規模の小さい病院や診療所ではまだ導入が進んでいない現状があります。

電子カルテシステム普及率

ただし、電子カルテ普及率は一般病院と一般診療所共に年々上昇しています。一般病院では2017年に46.7 %だったのに対し、2020年は57.2%、一般診療所では2017年に41.6 %だったのに対し、2020年は49.9%でした。今後も導入が増えると予想されます。
その背景には、IT化への取り組みが医療業界でも注目されており、経営者や医師が電子カルテの導入を検討しやすい状況が整ってきていることが挙げられます。また、IT技術の進歩により、より使いやすく安全性の高いシステムが提供されていることも、普及の加速につながっています。

電子カルテシステム普及率の推移

【参考】厚生労働省「電子カルテシステム等の普及状況の推移」

電子カルテの普及が進まない理由

電子カルテの全体の普及率が依然として低い状況である理由として、いくつかの要因が考えられます。

コスト面の懸念

まず、導入費用や運用コストが高いことが挙げられます。特に病床規模の小さい病院や診療所では、初期費用や維持費を捻出するのが難しいことが多く、また、システムの維持費やアップデート費用も考慮する必要があります。しかし、長期的に見ると、紙ベースのカルテ管理に比べてコスト削減が期待できます。
例えば、紙の購入や保管スペース確保のコストが削減できることや、スタッフの業務効率化による人件費の削減などが挙げられます。医療機関の規模や運用状況によって、最終的な費用が異なるため、事前にシステム提供会社から資料請求をして、コスト面を検討することが重要です。
また、電子カルテ導入には、政府や自治体が支援する補助金を活用できます。2024年8月末現在で活用可能な補助金については、下記リンク先の記事をご参照ください。

【関連記事】電子カルテ導入推進の全貌!導入メリットと補助金活用法

オペレーションの複雑さ

次に、スタッフの研修やシステムの導入にかかる手間が懸念されます。電子カルテへの移行は、慣れ親しんだ紙のカルテからの大きな変化であり、スタッフや医師の研修が十分に行われないと、効率化どころか逆に業務が滞る恐れがあります。初期段階では、スタッフが新しいシステムへの操作方法を覚える必要があります。また、医師や看護師が診療中にデータ入力を行うことで、患者さまとのコミュニケーションや診療に支障が出る可能性もあります。
しかし、慣れればオペレーションがスムーズになり、状況確認が容易になるため、総合的には効率化が期待できます。システム選定時には、操作性の良い製品を選び、適切な研修を行うことが重要です。

セキュリティ上の懸念

患者さま情報のセキュリティ対策が不十分であると感じる医師もいることが、普及が進まない理由の一つです。
患者さまの個人情報や医療データが電子化されることで、不正アクセスやデータ流出のリスクが高まります。そのため、厳重なセキュリティ対策が求められます。
例えば、アクセス権限の制限や定期的なセキュリティチェック、バックアップ体制の整備などが必要です。また、システム導入時には、セキュリティ対策が万全なシステム提供会社を選ぶことが重要であり、その後の運用でも継続的な安全対策が欠かせません。
セキュリティ上の懸念は無視できない問題ですが、適切な対策を行うことでリスクを軽減できます。

これらの理由から、電子カルテの普及が進まない現状がありますが、効果的な支援や研修、システムの改善により、今後普及が広がることが期待されます。

電子カルテ導入のメリット

電子カルテ導入には多くのメリットがあります。

診療効率の向上

電子カルテの導入により、情報が一元管理され、診療効率が著しく向上します。その理由として、まず病院内での検査結果や患者さまの状態の共有がスムーズに行われるため、医師やスタッフの業務負担を軽減できる点があります。
また、紙のカルテよりもデータ入力や操作が簡単であり、患者さまデータの検索や照会が容易になるため、診療時間の短縮が可能となります。
さらに、IT技術の活用により、機器やシステムとの連携が進み、適切な診療や薬剤の選択、診療報酬の請求業務が容易になることも効率向上に繋がります。
以上の理由から、電子カルテ導入による診療効率の向上が期待できると言えます。

患者さまデータ管理の効率化

診療所の経営面にもメリットがあります。例えば、業務の効率化によるコスト削減や、レセプト電子化に伴う請求ミスの削減などです。
電子カルテによる患者さまデータ管理の効率化には、以下の特徴が挙げられます。

  • 一元的なデータ管理が可能
    従来の紙のカルテでは、複数の場所に患者さまデータが分散していましたが、電子カルテでは一元的なデータ管理が行え、データ検索が容易になります。
  • データの共有が容易
    院内のスタッフ間でのデータ共有が簡単にできるため、診療の効率化が図られます。
  • 遠隔地との連携が可能
    他の医療機関や指定薬局との連携が容易になり、患者さまへのサービス向上が図られます。
  • セキュリティ対策が充実
    個人情報保護法や医療情報の管理に関する法令に対応したセキュリティ対策が実施されています。

これらの特徴により、電子カルテの導入による効率的な患者さまデータ管理が期待できます。

院内連携の強化

電子カルテの利用によって、院内連携が強化されます。
まず、診療データや検査結果の共有が容易になることで、医師やスタッフ間のタイムリーな情報共有が可能となります。また、システムを活用して、スタッフ同士の連絡やスケジュール調整が円滑に行われるため、業務の効率化が図られます。さらに、遠隔地の医療機関や薬局との連携が容易になるため、患者さまのケアの質も向上します。

ただし、導入には十分な検討が必要であり、システム選定や運用において慎重な判断が求められます。最終的には、医療機関や患者さまにとっての利益を追求し、適切な運用が行われることが大切です。
その他、電子カルテ導入のメリットやデメリットについては、下記リンク先の記事をご参照ください。

【関連記事】電子カルテ活用術!医療業界の変革への道

電子カルテ選定のポイント

電子カルテ選定の際に検討すべきポイントは以下の通りです。

  • 機能
    電子カルテシステムの機能を比較する際は、まず診療業務がスムーズに行えるか確認しましょう。
    具体的には、以下のポイントを検討しながら選定してください。

    - 患者さま情報の入力・管理が容易か
    - 診療データの連携・共有が可能か
    - 検査結果の閲覧・操作が簡単か

  • 利用目的と機能の一致
    導入するシステムが医療機関のニーズに合致した機能を備えているか確認します。クリニック向け、一般病院向け、在宅医療向け、自由診療向けなど様々な特色があります。医療機関の規模や患者さまの利用層によってもニーズが異なるため、最適なシステムを選ぶことが重要です。
  • コストパフォーマンス
    初期費用や運用費用が医療機関の経営規模に適切であるか検討します。
  • サポート体制
    システムトラブルや操作方法の質問に迅速・適切に対応できるサポート体制が整っているか確認しましょう。
    サポートの対応時間や形式(メール・電話・チャットなど)はメーカーによってさまざまです。無償対応の範囲も異なるため、医療機関の運用に適したサポート体制があるかどうか確認します。また、導入前後のデータ移行やシステムのカスタマイズに対応できるかも、サポート体制の大切な要素です。
  • セキュリティ対策
    個人情報保護法や医療情報の管理に関する法令に対応したセキュリティ対策が実施されているか確認します。
  • 他の機器やシステムとの連携
    既存の検査機器や他の医療システムとの連携がスムーズに行えるか確認します。

電子カルテの導入によって、診療効率の向上や患者さまデータ管理の効率化、院内連携の強化を図るためにも、これらのポイントを押さえたツール選定を行うことが重要となります。
弊社では、電子カルテ選定のサポートも行っております。本記事下部にお問い合わせフォームへのリンクをご用意しておりますので、お気軽にご相談ください。

導入費用と運営費用の確認

電子カルテシステムを導入する際には、費用面も検討する必要があります。
システム導入にかかる初期費用や月額費用、運用コストを比較し、総合的なコストパフォーマンスが良いものを選びましょう。
具体的には以下の費用を確認してください。

  • 導入費用(システム導入やデータ移行など)

  • 月額費用(システム利用料やアップデート費用など)

  • 運用費用(スタッフ研修やシステムメンテナンス費用など)

また、システムのアップグレードなどで追加費用が発生するかも確認し、長期的な運用コストを考慮しましょう。

まとめ

電子カルテは、今後ますます普及が進むと考えられます。機能面やサポート体制、コスト面を比較検討し、医療機関に適したシステムを導入することで、診療効率の向上や患者さま満足度の向上を実現できます。
これを機に、ぜひ電子カルテシステムに関する資料請求やデモ申込みを行い、導入に向けた検討を始めてみてください。

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