オンライン診療が普及していますが、初診時には薬の処方に注意が必要です。
本記事では、オンライン診療の概要や対象疾患、初診時に処方できない薬の具体例、厚生労働省のオンライン診療に関するポリシーを解説します。また、オンライン診療で注意すべき点や対処法についてもご紹介します。オンライン診療を利用する際には、適切な診断と治療、処方箋の取り扱い、健康保険の適用や負担金に関する情報提供にも注意が必要です。本記事を参考に、患者さまの不安や疑問点を解消するための丁寧な対応を心がけていただくことで、オンライン診療の効果を最大限に活用し、患者さまの通院負担軽減、患者さまの健康状態の向上に貢献できれば幸いです。
オンライン診療では処方できない薬
オンライン診療は、医師が患者さまとインターネットを通じて診察を行い、適切な治療方法を提案するサービスです。しかし、オンライン診療には処方できない薬が存在します。ここではオンライン診療では処方できない薬について解説します。
オンライン診療の患者さまの利点は、自宅や職場など遠隔地から医療機関を利用できることや、移動や待ち時間が短縮されることです。しかし、オンライン診療では処方できない薬があります。例えば、初診から麻薬や向精神薬の薬は処方できません。また、基礎疾患などの情報が把握できていない患者さまに、特に安全管理が必要な薬品(精神神経用剤、糖尿病用剤等)や、8日分以上の処方もできません。対面診療に切り替えて医師が患者さまの状態を直接確認するなどの判断が必要になります。
オンライン診療の概要と対象疾患
オンライン診療は、健康管理や病気の治療に対して、インターネットを通じて医療機関と患者さまがやり取りする方法で、特に通院することが難しい患者さまにとって助けとなります。
オンライン診療が可能な疾患の例:
- 風邪
- 花粉症
- 生活習慣病(脂質異常症、高血圧症、糖尿病)
- 認知症
このような疾患は、症状の確認や治療方法の提案がオンラインで可能ですが、重篤な状態や病気に対しては、対面診察への切り替えが必要です。またオンライン診療では対応しきれない症状や疾患もあるため、患者さまが状況を適切に判断して利用できるように分かりやすい周知をすることが重要です。
初診時に処方できない薬の具体例
オンライン診療で初診時に処方できない薬には、麻薬及び向精神薬(鎮痛剤や精神安定剤など)があります。これらの薬は、患者さまの健康状態や症状に関わるリスクや副作用が高いため、厳格な管理が求められています。医師は患者さまの身体検査や状態確認を行い、適切な処方を判断する必要があります。オンライン診療では、医師は直接患者さまの状態を確認できないため、これらの薬は処方できません。
また医師により、初診から処方すべきでないと判断する薬もあります。糖尿病治療薬や脂質異常症治療薬、全てのホルモン製剤、ステロイド外用薬などがあります。その他の薬、詳細は厚生労働省が一覧にしておりますので、下記をご確認ください。
【参考】厚生労働省「オンライン診療で処方を受けるに当たって注意が必要なお薬一覧」
厚生労働省のオンライン診療に関するポリシー
厚生労働省はオンライン診療を推進し、新型コロナウイルス感染症の拡大防止や患者さまの利便性向上を目的としています。ただし、オンライン診療の適切な活用を図るために、対面診療が必要な場合や処方できない薬の取り扱いについて、適切な指針やポリシーを策定しています。これにより、オンライン診療が安全かつ適切に運営されることが保証されます。
オンライン診療で処方できない薬の背景
オンライン診療では、一部の薬が処方できません。これは、麻薬や覚せい剤などの薬物乱用のリスクや、重篤な副作用が生じる可能性があるためです。厚生労働省が定めており、オンライン診療での処方が禁止または制限されています。
また、患者さまの症状や経過を正確に把握するために、初診時や状況によっては対面診療が必要とされることもあります。オンライン診療において十分な診察や確認が行えない場合、医師は適切な薬の処方が困難と判断することがあります。オンライン診療の利用が進む中で、医療機関や医師と患者さまが適切な対応を行い、安全な治療が行われるよう配慮が必要です。
セキュリティと医療情報の機密性の確保
オンライン診療では患者さまの個人情報や医療情報がネットを介してやり取りされるため、セキュリティ対策が重要です。医療情報の漏洩や不正アクセスによる個人情報の流出は、患者さまのプライバシーや安全に大きな影響を与えます。医療機関やサービス提供者は、適切なデータ暗号化技術やアクセス制限を導入し、情報を厳重に管理することが求められます。また、医師や患者さまも自身のデバイスやアカウントのセキュリティ対策に注意を払うことが重要です。
医師と患者さまの対面診療の重要性
オンライン診療は便利な一方で、対面診療にはかなわない点もあります。医師が患者さまの症状や表情、話し方から臨床状況を把握するのに対面診療は有益です。
また、患者さまも対面でのコミュニケーションを通じて医師の信頼性や説明を理解しやすくなることがあります。オンライン診療ではこれらの要素が疎かになることもあるため、適切なタイミングで対面診療を行う、切り替えることが重要です。
薬物乱用や薬剤選択に関する懸念
オンライン診療での処方が制限される理由の一つに、薬物乱用のリスクが挙げられます。麻薬や覚せい剤などの薬物は、乱用により深刻な健康被害を引き起こす可能性があります。また、患者さまの症状や体質に合わせた適切な薬剤選択が重要ですが、オンライン診療では物理的な制約から十分な診察や検査が難しい場合があります。そのため、医師は薬剤選択に慎重になる必要があります。
オンライン診療利用時の注意点と対応策
オンライン診療利用時には、以下の注意点と対応策を把握しておくことが重要です。
- セキュリティ対策:医療機関のデバイスやアカウントの保護、暗号化技術の利用
- 情報の正確性:症状や持病、アレルギー等を正確に取得する
- 対面診療の重要性:初診時や緊急を要する症状、検査が必要な場合は対面診療に切り替える
- 薬物乱用防止:オンライン診療で処方できる薬、処方に注意すべき薬を正しく理解する
これらの対応策を実践することで、オンライン診療を安全かつ効果的に活用することが可能です。
適切な診断と治療の確保
オンライン診療では、適切な診断と治療を確保するために、患者さまの症状や健康状態を丁寧に確認し、必要に応じて質問や指導を行います。具体例として、初診時には病歴やアレルギー情報を把握することが重要です。また、通信機器やカメラの安全性・適切性にも注意が必要です。適切な医療機関や設備を選ぶことで、患者さまの健康状態の確認や症状の診断・治療が円滑に進みます。さらに、オンライン診療の予約や管理も簡単に行えるシステムを活用しましょう。
処方箋の取り扱いと薬の受け取り方法
オンライン診療において、処方箋の取り扱いと薬の受け取り方法については、以下の点に注意が必要です。
- 電子処方箋の発行と取り扱いに関する厚生労働省のガイドラインの遵守
- 診療を行った医師が処方箋を発行し、指定された薬局で調剤が行われるよう処方箋を送るフローの確認
- 院外での受け取りや宅配を利用する方法の確認
また、処方箋には医師が指導や助言を記載することがあります。薬剤師との対面が困難な場合でも、電話やオンラインで質問や相談が可能です。その際は、薬の効果や副作用、服薬方法などの確認を行いましょう。
健康保険の適用と負担金に関する情報提供
オンライン診療では健康保険の適用も可能なため、患者さまの負担金に関する情報提供も重要です。自由診療のみ、もしくは自由診療も行っている医療機関によっては、自己負担分や保険適用外のサービスについて説明をする必要もでてきます。
オンライン診療初診時に聞くべき事項
オンライン診療初診時には、以下の事項の確認を行い患者さまの症状、状況を把握することが重要です。
- 病歴や過去の治療経験
- 持病やアレルギー情報
- 服用中の薬やサプリメント
- 現在の症状や悩み、希望する治療方法
- 生活習慣やストレスの有無
これらの情報を基に、医師は適切な診断・治療を提案し、必要に応じて処方箋を発行します。また、初診時には患者さまからの質問や相談にも応じることが重要です。
オンライン診療と処方できない薬のまとめ
オンライン診療では一部の薬が処方できない場合があります。例えば麻薬や精神安定剤など、厚生労働省が定める制限がある薬です。オンライン診療で処方できない薬については、対面診療で医師が相談することが重要です。最後に、今後もオンライン診療の利用が増えることが予想されるため、適切な知識と対応が求められます。医療機関においては患者さまと良好な関係を築くことで、患者さまにとって最適な治療を提案することができるでしょう。
日本調剤は医療のオンライン化にいち早く取り組み、豊富な実績がございます。
全国700店舗以上のスケールメリットを活かした"課題解決力"で、患者さまの治療に貢献するべく、貴院のオンライン化に伴走させていただきます。