薬局

場所を問わず、患者さまにとって一番身近な薬局へ

日本調剤 管理薬剤師
羽鳥 良さん

全国で調剤薬局を展開する日本調剤では、オンライン服薬指導の取り組みを進めています。患者さまにとってのメリットや利便性は、いったいどのようなものがあるのか。今回は、日本調剤で有数のオンライン服薬指導の実施経験を持つ、管理薬剤師 羽鳥さんにお話を伺いました。

肩書・ご活動の状況などはインタビュー当時(20221月)のものです。

実際の対談は、感染症対策に万全を期して実施いたしました。

オンライン服薬指導を選ぶ理由の多数は、感染予防対策

――オンライン服薬指導を多く行われているそうですね。どのようなきっかけでオンライン服薬指導を選ばれる患者さまが多いですか?

こちらからオンライン服薬指導を紹介して、「そういうものがあるんだ」と初めて知る方が多いです。
薬局が混雑してしまう時間帯もありますので、コロナ禍で密を避けたいという目的で、次回からオンライン服薬指導を選ぶ患者さまが多い印象です。便利さももちろんありますが、新型コロナウイルスの感染症予防を目的に選ばれる方が多いと思います。

――オンライン服薬指導を使用する患者さまはどういった方が多いですか?

かかりつけの患者さまや、20~50代の若い世代の方、症状が比較的軽い方が多いです。あとは、「発熱したから」という方もいらっしゃいます。免疫抑制剤を服用しているような、感染症により敏感な患者さまは、外出を避けてオンライン服薬指導をリピートして使ってくださっています。
他方で、病院で受診した後にそのまま薬局に寄りたいという方や、スマホ・パソコンの操作に不安がある方など、オンライン服薬指導を選びにくい患者さまもいらっしゃいます。

――どういった患者さまにオンライン服薬指導が有効だとお考えでしょうか?

本当にさまざまだと思います。例えば、抗がん剤治療を受けた直後は体調が悪くなってしまうことがあるので、ご自宅でゆっくり服薬指導を受けたい方や、周りの目を気にせずにお薬や副作用のことを詳しく聞きたい、相談したいという方でしょうか。また、小児用の粉薬は調剤に時間がかかりますが、薬局内でお待ちいただくのは大変だと思いますので、小さなお子さまがいらっしゃる方にもおすすめです。こういった患者さまには利便性を感じていただけていて、満足度も非常に高い印象です。

時間が節約できて、場所に縛られない

――オンライン服薬指導のメリットを教えてください。

患者さまにとっては、時間を節約できることや、場所に縛られないことでしょうか。通院の日は、移動時間や待ち時間を含め、家を出てから帰宅するまで半日以上かかることも稀ではありません。オンラインなら、こうした時間がなくなりますし、仕事の休憩時間にオンライン服薬指導を受けることもできます。それと、交通費もかからなくなりますね。
また、どこの薬局でも服薬指導を受けられますので、「この薬局が良いな」と薬局を選ぶ選択肢が広がったり、ご自宅や職場など、場所に制約されず都合の良い場所でお薬の説明を聞けたりという点がメリットだと思います。

――オンライン服薬指導を受けられた患者さまに良い変化はありましたか?

ご自宅でオンライン服薬指導を受ける方が多いですが、家というプライベート空間は、周りの目が気にならずリラックスした雰囲気ですので、普段は言いづらい内容も話していただけます。深いコミュニケーションをとれるため、より信頼関係も築きやすいですし、それによって治療効果の向上にも繋がると考えています。

もっと身近に、気軽に相談できる存在へ

――今後、オンライン服薬指導に期待することはありますか?

場所を問わず、薬局を身近なものに感じてもらうこと、そして気軽に相談してもらえるようになることです。時間や場所の制約がなくなり、薬局の選択肢が広がりますので、今まで以上に、患者さまが受けたい医療を選べるようになると思います。そして先述したように、深い内容のコミュニケーションがとれることで、治療効果の向上に寄与できると考えています。
今後は、患者さまだけでなく、ご家族の健康相談なども受けてフォローするなど、もっと薬局を身近に感じていただけるよう、引き続きオンライン服薬指導の取り組みに注力したいと思っています。

プロフィール

羽鳥 良
管理薬剤師/店舗責任者。2015年日本調剤に入社。
日本調剤内で有数のオンライン服薬指導の実施経験を持つ。
2021年、ポリファーマーシーに関するセミナーに登壇。地域医療連携にも注力している。