2024.03.05お役立ち情報

【防災対策してますか?】災害時の薬剤師の知られざる役割と、お薬手帳の重要性

防災への備え|日本調剤オンライン薬局サービスNiCOMS(ニコムス)

日本は、地震や台風など、世界でも災害の多い国として知られています。2011年の東日本大震災、2023年8月の台風第7号、1月1日に起きた令和6年能登半島地震は大きな被害をもたらしました。
今回は、災害時における薬剤師の役割やお薬手帳の重要性、オンライン医療について解説します。災害に備えるために、改めて防災対策を考えてみましょう。

災害時に求められる薬局・薬剤師の役割

災害時への備えとしてのお薬手帳

オンラインで、被災地外の医師や薬剤師とつながることができる

日本調剤の「お薬手帳プラス」と「NiCOMS」を活用しよう

災害時に求められる薬局・薬剤師の役割

災害発生時、被災地の薬局や薬剤師には多くの役割が求められます。例えば、被災者に対する医薬品の供給、医療救護所での支援活動、不足が予測される医薬品の補給の手配などです。

災害時に使用できる医薬品は、平常時とは異なり種類や在庫が限定されます。医師は専門外の医薬品を使用しないといけない場面もあり、医療用医薬品の代替として一般用医薬品の活用が必要になる場面もあります。その際に、薬剤師は患者さまがどのようなお薬を服用していたかを聞き取り、医療従事者に対して医薬品の選択について助言を行うなど、調剤や服薬指導にとどまらず、医薬品を適正に使用するために幅広い活動を行います。

また、医療用医薬品のみではなく、一般用医薬品や衛生材料などの管理も行います。保管場所・交付場所・相談場所を確保し、薬剤師が症状などを聞き、一般用医薬品で対応可能な患者さまに対しては、適切な一般用医薬品を提案します。一方、一般用医薬品では対応が難しいと考えられる患者さまには受診を促します。

そして、避難生活の中で起こる二次的な健康被害を防ぐため、被災者のセルフメディケーション支援はもちろん、健康や食事に関する相談を受け、アドバイスを行うことも重要です。

災害時への備えとしてのお薬手帳

防災グッズ|日本調剤オンライン薬局サービス(NiCOMS)

お薬手帳とは、自分が服用している薬の種類や量、服用期間などを記録する手帳のことです。災害時には、お薬手帳を持っていることで服用している薬の種類が速やかに把握できるため、スムーズに適切な医療を受けることができます。
2011年の東日本大震災では、患者さまのお薬手帳の内容を確認し、処方内容が安定した慢性疾患と判断できる場合は、処方箋がなくても保険調剤の取り扱いが可能となり、服薬が必要な方へお薬を迅速にお渡しすることができました。災害支援に参加した薬剤師の実体験では、お薬手帳の有無によって、診察にかかる時間が大きく違ったそうです。
※事後的に処方箋が発行されることを条件とする。(「平成23年東北地方太平洋沖地震及び長野県北部の地震の被災に伴う保険診療関係等の取扱いについて」厚生労働省保険局医療課 事務連絡 平成23年3月15日)

また、災害現場では薬の在庫が不安定なため、同じ効果のある薬への変更が頻繁に行われました。その薬剤名、アレルギー歴、副作用歴などをお薬手帳に記載することにより、他の医療機関で診察を受ける際に、継続した治療を受けることが可能となりました。

この経験より、被災地で活動した薬剤師から、お薬手帳を携帯または非常持ち出し品とする啓発や、インターネットのサーバー上など災害に影響されにくい情報保管方法を検討することの必要性などが提案されました。

皆さんも、非常事態の際にお薬手帳や常備薬を持ち出せるようにまとめるなど、日ごろから備えておくようにしましょう。
また、数日分の常備薬も一緒に防災セットに入れておくと安心です。持病薬、総合風邪薬、解熱鎮痛剤、胃腸薬、整腸剤、保湿剤や軽めのステロイド剤の塗り薬なども準備しておきましょう。

<持ち出し用の防災セットに入れておきたいもの>

・お薬手帳
・持病薬
・救急用品(絆創膏、消毒液、綿棒、ガーゼ、包帯など)
・常備薬(風邪薬、頭痛薬、胃薬、塗り薬、便秘薬など)
・食料品(カップ麺、缶詰、ビスケットなど)
・飲料水、経口補水液
・洗面用具(ドライシャンプー、汗拭きシート)
・衛生用品(マスク、歯ブラシ、ウェットティッシュ
・簡易敷マット、簡易トイレ
・季節用品(カイロ、電池式の扇風機など)
・照明器具(懐中電灯、LEDランタンなど)
・モバイルバッテリー
・健康保険証のコピー
・携帯ラジオ
・着火剤(マッチ、ライター)
・笛

政府広報オンライン「災害時に命を守る一人ひとりの防災対策」を加工して作成

オンラインで、被災地外の医師や薬剤師とつながることができる

東日本大震災時に厚生労働省から発出された事務連絡「情報通信機器を用いた診療(遠隔診療)等に係る取扱いについて」では、「震災の影響で遠隔診療によらなければ当面必要な診療を行うことが困難となった被災地の患者については、初診及び急性期の患者であっても、患者側の要請に基づき遠隔診療を実施して差し支えないものとする。」と明記されました。

これは、例えば、被災地の患者さまがかかりつけ医と連絡が取れず、他の医師に電話等の情報通信機器により連絡できた場合は初診であっても処方箋を出すことが可能とされたものです。
処方箋による調剤においても、調剤された薬については、「原則として患者又は現に看護に当たっている者に交付することとするが、客観的にやむを得ない状況であると認められる場合に郵送することは差し支えないこと。」と記載があります。

被災地の医師や薬剤師と連絡がつかない場合でも、オンラインを活用してスマートフォンなどでビデオ通話をつなぐことができれば、遠方の医師や薬剤師と連絡を取ることができ、診療や服薬指導、健康相談を受けられます。

日本調剤の電子お薬手帳「お薬手帳プラス」と「NiCOMS」を活用しよう

被災地で活動した薬剤師の経験にもあったように、お薬手帳は災害時の重要な情報となります。日本調剤の電子お薬手帳「お薬手帳プラス」は、東日本大震災をきっかけに2014年に誕生したスマホアプリです。いつも持ち歩くスマホの中に自分のお薬情報が入っていることで、非常時に診察を受けたり、医療機関に服薬状況を知らせる際に役立ちます。

■「お薬手帳プラス」について詳しく知りたい方はこちら
日本調剤の電子お薬手帳「お薬手帳プラス」 サポートサイト

また、日本調剤のオンライン服薬指導サービス「NiCOMS(ニコムス)」は、スマホやパソコンを使って薬剤師から服薬指導を受けたり、薬の相談をすることができるサービスです。距離に関係なく薬剤師とつながることができるため、被災地で不足している医薬品がある場合は、被災地外の在庫に余裕がある薬局から説明を受けて受け取ることも可能です。

災害時への備えとして、この機会に「お薬手帳プラス」と「NiCOMS」を登録してみませんか。

■「お薬手帳プラス」のダウンロードはこちら(アプリストアに遷移します)


◆参考文献
「薬剤師のための災害対策マニュアル」 平成23年度厚生労働科学研究「薬局及び薬剤師に関する災害対策マニュアルの策定に関する研究」研究班 報告書
「東日本大震災時におけるお薬手帳の活用事例」 平成24年6月 日本薬剤師会


日本調剤が提供するオンライン服薬指導サービス「NiCOMS(ニコムス)」のご利用はこちらから