2024.01.12|更新日:2024.01.12オンライン診療オンライン服薬指導

薬局連携~オンラインフォローアップ~

薬局連携~オンラインフォローアップ~

オンライン診療では対面診療と比べるとどうしても得られる情報が不足しがちですが、薬局から服薬指導後のオンラインフォローアップにより、医療機関、患者さまともに満足度向上が期待できます。
本コンテンツでは、その実例をご紹介させていただきます。

診療で得られる情報と得られない情報

オンライン診療では、収集できる情報に限りがあります。オンライン診療をサポートする各種デバイスも増えてきましたが、まだまだ普及には至っていません。対面診療では問診に加え、視診、触診、打診、聴診などにより、さまざまな情報が得られますが、対面・オンラインに関わらず、診療の中では得られにくい情報があります。それは、診療と診療の間にある情報です。

オンライン診療をする医師と患者のイメージ

薬局における服用期間中のフォローアップ

2020年9月に施行された改正薬機法では、薬剤師が調剤時に限らず、必要に応じて患者さまの薬剤の使用状況の把握や服薬指導を行うことが義務化されました。具体的には、調剤した薬剤の適正な使用のために必要と認める場合には、患者さまの当該薬剤の使用の状況を継続的かつ的確に把握するとともに、患者さま本人、または現にその看護にあたっている者に対して必要な情報を提供し、薬学的知見に基づく指導を行わなければならない旨が規定されています。
また、同時に、患者さまの薬剤の使用に関する情報を他医療提供施設の医師等に提供する努力義務も法制化されました。これにより、今までよりも一層、診療と診療の間に当たる、服用期間中の患者さまの状況を薬剤師が把握し、医師へトレーシングレポートによりフィードバックする機会が増えました。

日本調剤におけるオンラインフォローアップ

服用期間中のフォローアップは、主に電話で行われることが多いですが、日本調剤では20209月に自社開発した、日本調剤オンライン薬局サービス「NiCOMS(ニコムス)」によって、ビデオ通話によるフォローアップも行われています。NiCOMSのシステムを用いると健康保険証の資格情報なども得られるため、より実効的に薬物治療における有害事象の確認や悪化防止ができる仕組みになっています。今回は、その中から一部の事例を紹介させていただきます。

オンラインフォローアップをする薬剤師のイメージ

実例1:化学療法中の有害事象確認(日本調剤 水戸日赤病院前薬局)

50代女性で左乳癌術後(閉経後、ER-PgR-HER2+)の患者さま。
術後補助化学療法としてEC 療法4コース施行後にPertuzumabTrastuzumabDTX 療法が開始となりました。

1コース目day7にオンラインフォローアップを実施したところ、舌部の全体的な疼痛、食事摂取時の苦痛があると聴取でき、Grade2の口腔粘膜炎と判断することができました。さらに情報を得るため、画面で舌部を観察したところ、舌全体に白苔を確認しました。そこで、処方医療機関が推奨する OTC を用いた口腔ケアについて実演を交え説明し、処方医療機関へは口腔カンジダ症の疑いがあることを報告しました。

2コース目day10にブリストルスケール6の下痢症状の出現を聴取しGrade 2と判断しました。酸化マグネシウムが処方されていたため、服用を中断しているか確認するために、オンラインフォローアップを実施し、残薬を確認しました。化学療法による下痢が疑われたため、処方医療機関へ酸化マグネシウムの中止と止痢薬の追加を依頼しました。口腔粘膜障害についてカンジダ症は否定され、アズレン含嗽液の追加投与によりGrade1へ軽快し、3コース目day1には止痢薬ではなく整腸剤が追加となりましたが、day8にブリストルスケール5と軽快しGrade1と判断しました。

4コース目day10に口腔粘膜障害、下痢、味覚障害はいずれもGradeの悪化なく維持できていることを確認でき、新たな有害事象の出現なく4コース完遂に至りました。

このように、オンラインフォローアップでは視覚的な情報が得られ、精度高く有害事象の確認や重症度評価が可能となります。得られた情報から、より的確な支持療法の提案につなげることで、治療強度の維持に貢献できると考えられます。

実例2:抗悪性腫瘍剤の副作用を軽減できた事例(日本調剤 宮城野原薬局)

S-1療法にて手足症候群症状がある患者さまへ、オンラインフォローアップを実施した事例です。

長い期間、手・指・爪周辺の乾燥炎症症状がひどく、ヘパリン類似物質軟膏0.3%の処方が出ておりました。オンラインフォローアップにて症状を確認したところ、爪の間が真っ赤になっており、乾燥している状況でした。患者さまにヒアリングしたところ、軟膏、クリーム剤は爪の間まで薬剤が届かず効果があるか分からないため、薬剤を使用していない状況でありました。

そこで、トレーシングレポートにより、ヘパリン類似物質ローションの処方追加を提案し、次回処方分より、ヘパリン類似物質ローションが処方追加となりました。その後、オンラインフォローアップを実施したところ、赤み、乾燥状態が緩和されており、患者さまからも、爪の間まで浸透している実感があり、ローション剤なら使用継続できそうとのお声をいただきました。

実例3:抗悪性腫瘍剤の副作用を発見した事例(日本調剤 東大阪薬局)

再発乳がんDTX5コース目に電話によるフォローアップを行ったところ、皮膚を指で押しても戻らない浮腫を聴取しました。症状を目視させてもらうために、オンラインフォローアップを行ったところ、強い浮腫が確認できました。映像のスクリーンショットとともにトレーシングレポートを送付した結果、利尿剤が追加処方されました。

電話でのヒアリング事項だけでなく、画像という視覚情報も加えた上でトレーシングレポートを送付することで、浮腫の発見、悪化が防止できた事例です。

最後に

親指を立てる医師のイメージ

今回ご紹介した実例のように、薬局と連携することで、診療後の患者さまの服薬状況に関する情報を得ることができるようになります。その結果、治療継続率の向上や、副作用の早期発見などにつなげることができます。

日本調剤の薬局では、オンライン薬局サービス「NiCOMS」を効果的に用いながら、服薬中の患者さまのフォローと医療機関へのフィードバックに力を入れています。ぜひ、服薬フォローのプロ集団である薬局薬剤師との連携により、より良い治療につなげていただければと思います。

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