この記事では、オンライン診療のメリットや具体的な活用法、保険適用の範囲や条件、必要な機器や通信環境整備、個人情報保護と安全対策について解説いたします。
地域密着型の診療所で患者数の減少に悩まれている医師にも、オンライン診療が地域医療に貢献できる可能性を見出すことができます。ぜひ参考になさってください。
目次
オンライン診療のメリットと活用法
オンライン診療は、医師と患者さまが遠隔地でも診察が行える新しい医療形態です。
そのメリットは、患者さまが自宅で受診できるため移動時間や費用を節約できますし、診療機関に行くことで他の患者さまと接触するリスクも抑えられます。
また、遠方の専門医に相談できることで、より適切な治療を受けられる可能性も高まります。
オンライン診療の活用法の一例としては、アクセスが困難な地域の患者さまや高齢な患者さまの診察、コロナウイルス感染症対策などが挙げられます。
自宅で受診できる在宅医療の魅力
自宅で受診できる在宅医療は、高齢者や重症の患者さまにとって非常に有益です。在宅医療を受けることで、患者さまは通院に伴う負担や感染リスクが軽減されます。
また、医師による訪問診療や看護師による訪問看護が可能で、診察や治療はもちろん、日常生活に関するアドバイスも受けられます。
さらに、診療所と連携してオンライン診療を実施することで、医師や看護師とのコミュニケーションが円滑になり、より適切な医療サービスの提供が期待できます。
通信技術を活用した医師と患者さまの連携
通信技術の発展に伴い、スマートフォンやタブレットを使ったビデオ通話や専用アプリを通じて、医師と患者さまの連携がますます進んでいます。これにより、診察や処方箋の発行、医療相談などが遠隔地でも可能になります。
また、通信技術と医療機器を組み合わせることで、患者さまの健康状態をリアルタイムで確認し、適切なアドバイスや治療が提供できるようになっています。
オンライン診療に関わる保険・費用問題
オンライン診療は、自宅で医師の診察を受けることができるため、患者さまへの負担が軽減されます。
しかし、保険の適用や費用面で不安があるかもしれません。
実際、厚生労働省はオンライン診療に対応した医療費の算定を許可していますが、適用範囲や条件があります。
オンライン診療の保険適用
オンライン診療も対面診療と同じように、診療内容により保険が適用されます。
2022年より初診からオンライン診療が可能となり、下記の算定要件・施設基準を満たす場合に、情報通信機器を用いた場合の初診料や再診料を算定することができます。
算定要件
- 厚生労働省が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関であること。
- 厚生労働省「オンライン診療の適切な実施に関する指針」に沿って診療を行い、要点を診療録に記載すること。
- 原則として、保険医療機関に所属する保険医が保険医療機関内で実施すること
- 緊急時に必要な対応を行えること。ただし、やむを得ず対応できない場合は、患者さまが速やかに受診できる医療機関において対面診療を行えるよう、事前に受診可能な医療機関を患者さまに説明した上で、かかりつけの医師または紹介先医療機関を診療録に記載しておくこと。
- 対面診療を提供できる体制を有すること。患者さまの状況によって対応することが困難な場合には、ほかの医療機関と連携して対応できる体制を有すること。
- 厚生労働省「オンライン診療の適切な実施に関する指針」に沿って診療を行い、当該診療が指針に沿った適切な診療であったことを診療録及び診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。また、処方を行う際には、当該指針に沿って処方を行い、当該処方が指針に沿った適切な処方であったことを診療録及び診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。
なお、予約に基づく診察による特別な料金(予約料)の徴収はできませんが、情報通信機器の運用に要する費用は療養の給付と直接関係ない「サービス等の費用」として別途徴収できます。
施設基準
- 情報通信機器を用いた診療を行うにつき十分な体制が整備されていること。
- 厚生労働省「オンライン診療の適切な実施に関する指針」に沿って診療を行う体制を有する保険医療機関であること。
【参考】令和4年度診療報酬改定の概要個別改定事項Ⅱ(情報通信機器を用いた診療) 厚生労働省保険局医療課
【参考】オンライン診療の適切な実施に関する指針 平成30年3月(令和5年3月一部改訂)厚生労働省
地域の医療機関との連携で負担軽減
地域の医療機関との連携により、オンライン診療の負担を軽減できることがあります。例えば、地域密着型の診療所や病院がオンライン診療を導入している場合、患者さまは近隣の医療機関への通院費用や時間を節約できます。
また、在宅医療を提供している医療機関と連携することで、訪問診療や看護サービスも利用可能となり、より一層の負担軽減が期待できます。
オンライン診療の環境整備と必要機器
オンライン診療を実施するためには、適切な環境整備と必要機器が不可欠です。
まず、インターネット環境が整っていることが重要です。次に、スマートフォンやタブレットなど、ビデオ通話が可能なデバイスが必要です。さらに、医師とのコミュニケーションを円滑に行うため、マイクとスピーカーが搭載された機器を用意しましょう。
これらの環境整備が整えば、安心してオンライン診療を利用することができます。
快適な通信環境の整備
オンライン診療を行う際には、快適な通信環境が整っていることが求められます。理由として、患者さまとのコミュニケーションがスムーズに行われ、診察の質が向上することが挙げられます。
具体的には、インターネット回線の速度や安定性が重要であり、Wi-Fiが不安定な場合は有線LANを検討しましょう。また、医療機関内の通信機器も見直しを行い、古い機器は新しいものに更新することを検討してください。さらに、通信環境を向上させるために医療機関内にWi-Fi中継器を設置することも効果的です。
これらの取り組みによって、通信環境が改善され、オンライン診療が円滑に進むでしょう。
オンライン診療で役立つ機器と設定
オンライン診療を行う際には、適切な機器と設定が必要です。まず、スマートフォンやタブレット、パソコンなどのデバイスを用意し、必要なアプリやソフトウェアをインストールしましょう。
次に、オンライン診療に適したカメラやマイクを選択することが重要です。高画質なカメラを使用することで、患者さまの症状を正確に把握できるでしょう。また、クリアな音声が聞こえるマイクを選ぶことも大切です。
さらに、システムの設定にも注意が必要であり、インターネット回線の速度やセキュリティ設定を確認し、最適なものに変更することが求められます。
これらの機器と設定が整っていれば、オンライン診療がスムーズに行えるでしょう。
オンライン診療サービスの選び方と利用法
オンライン診療サービスの選び方と利用法について説明します。ます、医療機関に合ったサービスを選ぶために以下のポイントを確認しましょう。
- 対応する診療科目
- 保険適用の有無
- 機能の充実度
次に、サービスを利用する際の手順を把握しておきましょう。予約方法や受付システム、患者さまへの案内方法などがわかりやすく、効率的に運用できるものが望ましいです。
また、患者さまの状況に応じた診療が可能かどうかを考慮し、在宅療養者や通院が困難な患者さまに対応できるサービスを選びましょう。
最後に、サービス提供会社との連携やサポート体制が整っているかを確認することが重要です。これらの点を踏まえて、最適なオンライン診療サービスを選択し、効果的に活用しましょう。
オンライン診療サービスの比較と選択
オンライン診療サービスを選ぶ際には、比較検討が大切です。
まず、サービス提供会社のウェブサイトなどで、評判や信頼性を確認しましょう。次に、料金プランや機能の違いを比較し、適したものを選びます。また、導入事例や成功例を参考にして、医療機関の状況に合ったサービスを選択することが求められます。さらに、サービス提供会社との連携やサポート体制が整っているかどうかも重要なポイントです。
これらの比較と選択が適切であれば、オンライン診療サービスを効果的に活用できるでしょう。
なお、「【医師必見】薬剤師によるオンライン診療ツール比較(5選)」「開業医・クリニック向け:初期導入費用無料のオンライン診療サービスのご紹介」の記事では、実際に使用されているオンライン診療サービスについて特徴を紹介しています。ご興味がございましたら、ぜひお読みください。
オンライン診療を受けるための準備
患者さまがオンライン診療を受診するための事前準備は以下の通りです。
まず、オンライン診療を提供している医療機関のサイトや一覧ページを確認し、受診する医療機関を選択します。
次に、サイトに記載された電話番号やメールアドレスから予約を行い、受診時刻を確定させます。受診する医療機関がオンライン診療のプラットフォームを使用している場合は、プラットフォームのシステムを使用して予約を行います。
また、オンライン診療にはスマートフォンやタブレット、パソコンなどの通信機器とインターネット環境が必要です。通信機器が問題なく使用できるか、カメラやマイクが正常に動作するかを事前に確認おくといいでしょう。
これらの準備を行うことで、スムーズにオンライン診療を受診することができます。
オンライン診療における個人情報保護と安全対策
オンライン診療においては、個人情報保護や安全対策が重要です。以下に主な取り組みと対策をご紹介します。
- 誤送信や情報の流出を防ぐため、患者さまの確認を十分に行う。
- 周囲に人がいないことを確認し、プライバシーが保たれた環境で診療を行う。
- セキュリティ面に配慮した通信ツールやアプリケーションを使用する。
- 適切なアクセス制御やパスワード管理を行い、個人情報の不正アクセスや漏洩を防ぐ対策を講じる。
- システム自体も定期的な更新やセキュリティチェックを行い、脆弱性や不具合に早期対応できるように努める。
これらの対策により、患者さま情報の安全性とオンライン診療の信頼性が向上しています。
オンライン診療活用で在宅医療が進化する未来
オンライン診療の活用によって、在宅医療はますます進化していくでしょう。患者さまは自宅から医療機関とつながり、診療や相談が可能になります。また、地域による医療格差の解消や診療時間の効率化にもつながるため、患者さまや医療従事者にとってもメリットが大きいです。
これからもオンライン診療が拡大し、自宅での療養や在宅介護がより円滑に進むことで、地域密着型の診療所も患者数を増やすことが期待できます。
これを機に、オンライン診療を導入して、在宅医療の進化に貢献しましょう。
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