昨今、生活のあらゆる場面でオンライン化が進むなかで、「オンライン服薬指導」という言葉を耳にしたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
2022年4月から「オンライン服薬指導」の規制が緩和されたことにより、診療からお薬の受け取りまでを一気通貫で、オンラインで完結することができるようになりました。
そこで今回は、「オンライン服薬指導」の規制緩和(法改正)のポイントと、メリットについて解説いたします。
「オンライン服薬指導」とは?
「オンライン服薬指導」とは、スマートフォンやパソコンなどのビデオ通話を利用して薬剤師から処方薬の説明を受ける(服薬指導)ことができ、説明後は自宅などまでお薬を配送してもらい受け取ることができるサービスのことです。
従来のように薬局に行く必要がありませんので、お薬が用意できるまでの待ち時間もかからず、自宅などの安心できる場所でプライバシーを守りながら体調や症状について話すことができます。
「オンライン服薬指導」の法改正で変わったこと
「オンライン服薬指導」に関しては、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(以下:薬機法)に準じてルールが定められています。
2020年3月以前は、「特定の疾患」「再診」の場合のみ、「オンライン服薬指導」を行うことが可能でしたが、2020年4月に新型コロナウイルス感染拡大防止を目的に、厚生労働省から事務通知(いわゆる「0410通知」)が発出され、時限的に、「すべての疾患」「初診・再診」での対応が可能となりました。(0410対応と記載された処方箋のみ有効※)
そして、2022年4月の薬機法改正により、さらに規制が緩和され、患者さまはいつでも、「オンライン服薬指導」を利用することができるようになったのです。
※2020年4月10日付 厚生労働省発出の「新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて」の通知に基づき発行された処方箋
【オンライン服薬指導に係る薬機法に基づくルール改正の比較※1】
改正前 | 改正後 | |
---|---|---|
実施方法 |
初回は対面(オンライン服薬指導不可) |
初回でも、薬剤師の判断と責任に基づき、オンライン服薬指導の実施が可能 ※薬剤師が責任をもって判断する上で必要な情報等について例示 |
通信方法 |
映像及び音声による対応(音声のみは不可) |
|
薬剤師 |
原則として同一の薬剤師がオンライン服薬指導を実施 ※やむを得ない場合に当該患者に対面服薬指導を実施したことのある当該薬局の薬剤師が当該薬剤師と連携して行うことは可 |
かかりつけ薬剤師・薬局や患者の居住地にある薬局により行われることが望ましい |
診療の形態 |
オンライン診療または訪問診療を行った際に交付した処方箋 ※介護施設等に移住する患者に対しては実施不可 |
どの診療の処方箋でも可能(オンライン診療または訪問診療を行った際に交付した処方箋に限られない) |
薬剤の種類 |
これまで処方されていた薬剤またはこれに準じる薬剤(後発品への切り替え等を含む) |
原則として全ての薬剤(手技が必要な薬剤については、薬剤師が適切と判断した場合に限る) |
服薬指導計画※2 |
服薬指導計画を作成した上で実施 |
服薬指導計画と題する書面の作成は求めず、服薬に関する必要最低限の情報等を明らかにする |
※1 厚生労働省「令和4年度調剤報酬改定の概要(調剤)」を加工
※2 薬の渡し方など、オンライン服薬指導を行う際に策定する計画書のこと
「オンライン服薬指導」を活用するメリット
もし、オンラインで医療機関を受診(オンライン診療)した場合に「オンライン服薬指導」を希望すれば、診療からお薬の受け取りまでを一気通貫で、オンラインで完結することができます。
また、「オンライン服薬指導」は、事前に好きな日時を選んで予約できる※ため、隙間時間を活用できるほか、通院にかかる移動時間や待ち時間を削減することが可能です。外出による感染リスクを避けたり、ご自宅など周りの目を気にしない場所で体や薬のことを相談できる、というメリットもあります。
※処方箋の有効期限内に予約をし、服薬指導を受ける必要があります。
なお、オンライン服薬指導を活用する具体的メリットについては、日本調剤株式会社が2022年3月に実施したオンラインプレスセミナー『忙しいパパママの生活をサポートする「オンライン服薬指導」』のレポートにも記載していますので、こちらもぜひご覧ください。