新型コロナウイルス感染症流行時は電話や情報通信機器を用いた診療が特例として認められていました。電話のみで行う診療は現在も可能なのでしょうか。本記事ではオンライン診療の変化と、オンライン診療の実施にあたり必要な要素についてご紹介いたします。
目次
オンライン診療とは
オンライン診療は、患者さまと医師が物理的に同じ場所にいなくても、遠隔で医療相談や診察を行う方法です。患者さまは自宅やオフィスなどからインターネットを通じて医師に症状や健康に関する情報を提供し、医師はそれを元に適切な診断や治療を行います。
特に新型コロナウイルス感染症の流行時は、院内感染を含む感染防止のため、非常時の対応として電話や情報通信機器を用いたオンライン診療が時限的・特例的な取扱いとして急速に普及しました。
【参考】新型コロナウイルス感染症流行を機に進化したオンライン診療のメリットと活用法
時限的・特例的な取扱いに基づく電話・オンライン診療
新型コロナウイルス感染症の流行時は、特例として医師の判断で初診から電話や情報通信機器を用いた診療により診断や処方※をして差し支えないこととされていました。そのため、電話のみでの診療においても、処方箋発行まで対応が可能となっていました。しかし、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更に伴い、電話や情報通信機器を用いた診療等に係る診療報酬上の特例は令和5年7月31日をもって終了となっています。
※麻薬および向精神薬の処方は不可のため除く
厚生労働省「新型コロナウイルス感染症への対応について【第2報】(医療機関向けのリーフレット) 」より抜粋
これからのオンライン診療の形式
電話や情報通信機器を用いた診療等に係る診療報酬上の特例が終了したことで、電話のみでの処方箋発行が不可となりました。令和5年8月1日以降、処方箋発行が必要な場合は対面診療もしくはオンライン診療での受診が必要です。
また、厚生労働省が公開している「オンライン診療の適切な実施に関する指針」には診察方法における最低限遵守する事項として次のように記載されており、現在はリアルタイムの視覚(映像)及び聴覚(音声)の情報を含む情報通信手段を採用することになっています。
オンライン診療の提供に関する事項
(6) 診察方法-②最低限遵守する事項-ⅱ
オンライン診療では、可能な限り多くの診療情報を得るために、リアルタイムの視覚及び聴覚の情報を含む情報通信手段を採用すること。直接の対面診療に代替し得る程度の患者の心身の状況に関する有用な情報が得られる場合には補助的な手段として、画像や文字等による情報のやりとりを活用することは妨げない。ただし、オンライン診療は、文字、写真及び録画動画のみのやりとりで完結してはならない。
厚生労働省「オンライン診療の適切な実施に関する指針(平成30年)(令和5年3月一部改訂)」より一部抜粋
リアルタイムの視覚(映像)及び聴覚(音声)の情報を含む情報通信手段とは
では、「オンライン診療の適切な実施に関する指針」に記されているリアルタイムの視覚及び聴覚の情報を含む情報通信手段にはどういったものがあるのでしょうか。オンライン診療システムと汎用的な情報通信サービスの2種類をご紹介します。
▼オンライン診療システム
- curon(クロン)/ 株式会社MICIN
- CLINICS(クリニクス)/ 株式会社メドレー
- LINE(ライン)ドクター/ LINEヘルスケア株式会社
- YaDoc(ヤードック)/ 株式会社インテグリティ・ヘルスケア
- On診(オンシン)/ 株式会社ファインデックス 等
このようなオンライン診療専用に作成されたシステムは、導入費用や月額利用料、決済手数料など費用が発生いたしますが、予約・問診票作成・決済・処方箋作成などのサービスが含まれており、オンライン診療に必要な作業をシステム上で完結することも可能です。 システムによってそれぞれの特徴がありますので、ぜひ貴院に合ったツールを見つけてみましょう。
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▼汎用的な情報通信サービス
- ZOOM
- Microsoft Teams
- FaceTime 等
ビデオ通話機能があれば、一般的に広く用いられているこれらのアプリの利用も可能です。これらは無料または低コストで利用することができますが、決済サービス等は付いていないため、窓口負担分は患者さまが後日来院しお支払いいただくか、振り込みで対応いただく必要があります。
オンライン診療の導入
ここまでオンライン診療の変化や、実施にあたり必要なシステムを紹介してきました。しかし、導入に際しては様々な準備が必要となり、さらに疑問や課題に直面することもあるかと思います。
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まとめ
新型コロナウイルス感染症流行時には電話のみで診療を行っていた医療機関も令和5年7月31日の特例措置終了後はオンライン診療に切り替える動きが多くありました。今後は医療DXの動きがますます加速していくことが見込まれるため、オンライン診療が医療手段の1つとしてより確立していくことが期待されます。ぜひ、この機会にオンライン診療の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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