2023.10.10|更新日:2024.02.08オンライン診療

5分でわかるオンライン診療の始め方|導入検討中の医療機関向け

5分でわかるオンライン診療の始め方|導入検討中の医療機関向け_1

新型コロナウイルス感染症の流行下において、かかりつけの患者さまに電話再診を実施された先生方もいらっしゃるのではないでしょうか。2023年5月8日以降、新型コロナウイルス感染症が5類感染症へ変更され、「電話や情報通信機器を用いた診療等に係る特例」は7月31日をもって終了となりました。これにより、オンライン診療を実施するためには情報通信機器を用いた診療にかかる施設基準を届け出る必要があります。特例措置が終わった今、オンライン診療システムの導入を検討している医療機関の方向けに、始め方や届け出などについて解説します。

オンライン診療とは

オンライン診療はスマートフォンやパソコンなどからビデオ通話機能を使って、医師と患者さまの間で診察および診断を行い、診断結果の説明や処方などの診療行為をリアルタイムで実施する遠隔医療の1つです。
スマートフォンなどの操作に慣れていない患者さまにとっては敷居が高く感じたり、触診・聴診・検査・処置ができないため診療が難しい疾患があるといったデメリットはありますが、通院にかかる時間や体力消耗の軽減、院内感染や二次感染の回避、遠方にある専門性の高いクリニックの治療が受けられる、といった患者さまのメリットがあります。
また、クリニック側は、オンライン診療システムを利用することで、新規集患(集客)につながったり、予約・受付・会計などの手続きがオンラインで完結するため、スタッフの負担を減らすことができるというメリットがあります。

【関連記事】【導入検討中の方へ】オンライン診療のメリット・デメリット

オンライン診療の始め方

この章では、オンライン診療の始め方を5つに分けて解説していきます。

  1. オンライン診療システムの選定・導入
  2. オンライン診療の評価
  3. オンライン診療に関する研修受講
  4. 行政への届け出
  5. 書類の雛形作成

1.オンライン診療システムの選定・導入

オンライン診療を実施するにあたり、オンライン診療専用のシステムを利用するのか、汎用的な情報通信サービスを利用するのか、ツール選定が必要です。導入の手軽さでいえば、ZoomやMicrosoft Teamsなどの汎用サービスに軍配が上がりますが、オンライン診療専用のシステムを利用すれば、患者さまはそのシステム内で予約・受付・支払いまで完了できます。汎用サービスを用いる場合は、特に留意すべき事項(医師側から患者さま側につなげることを徹底することや、端末内の他のデータと連結しない設定とすることなど)がオンライン診療指針に明記されており、その点にも注意が必要です。

【関連記事】【医師必見】薬剤師によるオンライン診療ツール比較(5選)

2.オンライン診療の評価

情報通信機器を用いた場合に初診料、再診料、外来診療料を算定するためには、地方厚生局へ施設基準の届出が必要です。施設基準は次の2項目で定義されています。
(1)情報通信機器を用いた診療を行うにつき十分な体制が整備されていること。
(2)厚生労働省「オンライン診療の適切な実施に関する指針」に沿って診療を行う体制を有する保険医療機関であること。
上記からも分かるように、「オンライン診療の適切な実施に関する指針」(以下「オンライン診療指針」)に沿って行うことが大切です。

3.オンライン診療に関する研修受講

「オンライン診療指針」には「2020年4月以降、オンライン診療を実施する医師は厚生労働省が指定する研修を受講しなければならない。」と示されており、情報通信機器を用いた場合の初診料、再診療、外来診療料を算定するために修了必須となっています。手続きには、医師等資格確認検索システムに登録されている必要があります。

4.行政への届出

施設基準を満たした後、地方厚生局に施設基準の届け出を行います(後述)。
また、医療機能情報提供制度(医療情報ネット)には、オンライン診療実施の有無や、その内容を掲載することができます。患者さまがクリニックを検索しやすいように、随時内容を更新しましょう。

【参考】厚生労働省 医療機能情報提供制度(医療情報ネット)について

5.書類の雛形作成(患者さまの合意取得と診療計画書の作成)

オンライン診療の実施には、患者さまにオンライン診療について説明して同意をいただいた上で、診療計画を作成してお伝えする必要があります。
日本医師会が作成した「オンライン診療入門~導入の手引~【第1版】」にサンプルが掲載されています。オンライン診療を実施する際に慌てないように、事前に雛形を準備しておきましょう。

<日本医師会作成の雛形>

日本医師会作成の雛形1

日本医師会作成の雛形2

オンライン診療を行うには事前研修が必須

前章でも触れた通り、オンライン診療を実施するためには、厚生労働省の指定するオンライン診療研修を受講することが義務付けられています。研修は全部で5科目(講義時間総計約2時間半)に分かれており、科目ごとに演習問題が10題あります。全科目合格すると修了証が発行されます。

研修プログラム

  • 研修はe-learning形式。登録後いつでも受講可能
  • 研修受講費用は無料
  • 申込時に医籍登録番号の記載が必要

施設基準の届出

厚生労働省

施設基準を満たし、オンライン診療における施設基準の届け出を行う際には、保険医療機関を管轄する地方厚生局に、以下2種類の書類を提出します。

  • 基本診療料の施設基準等に係る届出書(別添7)
  • 情報通信機器を用いた診療に係る届出書添付書類(別添7の様式1)

※別添7の様式1では、前述の研修における修了証登録番号および修了年月日の記載が必要になります。

各書式は地方厚生局のホームページよりダウンロード可能です。
※施設基準等名称「情報通信機器を用いた施設にかかる基準」

オンライン診療に関するよくある質問

Q.診療計画は、患者さまに文書で渡す必要がありますか?
A.情報を正確に伝えるために、文書・メールなどで患者さまに伝えることが望ましいとされていますが、患者さまの不利益とならない限りにおいては、診療計画の内容を口頭で患者さまに伝えることも可能です。

Q.オンライン服薬指導を実施している薬局がどこにあるか知る方法はありますか?
A.オンライン服薬指導を実施している薬局は各都道府県の薬局機能情報掲載ページに掲載されています。

※ただし、日本保険薬局協会が2023年3月に公表した情報によると、オンライン服薬指導に対応しているシステムを導入している薬局は8割を超えていますが、実施実績があるのはまだ1割強の薬局です。そのうち月1回以下の実績が約2/3という実情です。日本調剤では自社開発のオンライン薬局サービスの会員登録者数が11万人を超え(2023年9月時点)、全薬局でオンライン服薬指導に取り組んでおります。

【参考】厚生労働省 オンライン診療の適切な実施に関する指針 (2023年3月改定)
【参考】厚生労働省 「オンライン診療の適切な実施に関する指針」に関するQ&A (2023年3月改定)
【参考】厚生労働省 オンライン診療研修実施概要
【参考】日本医師会 オンライン診療入門~導入の手引き~【第1版】 (2022年4月)

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